2012 Fiscal Year Annual Research Report
高感度宇宙線測定装置(SciCR)による太陽中性子の観測
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12J03676
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
永井 雄也 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 太陽中性子 / 宇宙線 |
Research Abstract |
・新型太陽中性子望遠鏡(SciCRT)の観測 メキシコ国立天文光学電気研究所(INAOE)にてSciCRTの観測を行った。2012年8月に読み出し回路の接続をし、装置の2/8を用いて宇宙線を使った予備観測を行った。11月には装置の5/8及び最上下のアンチカウンターも使い観測を行った。翌年2月にはサイドアンチカウンターのテスト、トリガーロジックのデバッグを行った。データは国内に持ち帰ってきており、それらの解析も行っている。 ・中性子望遠鏡のデータ解析 2010年以降の、X線でM2以上のクラスのフレアでの太陽中性子望遠鏡の信号を調べた。延べ182イベントに対し、136イベントの解析を行ったが、特に有意な信号は見られなかった。現在、時計的な解析を行っており、核イベントに対する上限値を求める予定である。また、フレアに同期しない信号が無いかも調べている。 ・中性子望遠鏡のバックグラウンドの考察 中性子望遠鏡のデータに対し、モンテカルロシミュレーションを用いてそれが正しく説明できるかを調べている。 これは、検出器の感度を調べるのに重要であり、バックグラウンドの長期変動がどのような仕組で起きているのかを調べるのにも役立つ。 ・太陽中性子望遠鏡のメンテナンス. ハワイ・マウナケアに設置されている太陽中性子望遠鏡の感度が年々下がっていることに気がついたため。現地へ行って装置のメンテナンスを行った。発振していた端子を差し替えた。また、比例計数管1本1本の増幅率をチェックし、2004年当時の増幅率になるように調節し直した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
望遠鏡の予備測定を行うことができ、山頂への輸送の準備も整えることができたため。予備観測では最上、下段のアンチカウンターの設置及び試験・サイドアンチカウンターの試験・全光電子増倍管の増幅率の測定による印加電圧の決定・異なるトリガーロジックによるFPGAの試験を行うことができた。山頂の観測小屋の土台も完成しているので、来年は予定通り山頂での観測が無事開始できるものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初考えられていたよりも太陽活動が不活発であり、太陽中性子放出の期待も弱まりつつある。そのため、中性子が観測されなかった太陽フレアに関しても解析を進め、放射量の上限値を決定する研究も行う。そのために現在の中性子望遠鏡の検出感度を詳細に求めるためのモンテカルロシミュレーションを始めた。また、並行して太陽フレアと同期していない信号についても何かイベントが無いかを調べている。これらの研究によりこれまでの太陽フレアイベント解析とは違った切り口の研究を模索していく。
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Research Products
(4 results)