2013 Fiscal Year Annual Research Report
がん選択的な可視化と光線力学的療法の両機能を有する新規医療分子の創製
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12J03754
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇野 真之介 東京大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 蛍光プローブ / ローダミン / スピロ環化 / 超解像イメージング |
Research Abstract |
昨年度は、がんイメージンクや光線力学的療法(PDT)を含めた広範な目的での応用が期待されるactivatableプローブの設計法として、ローダミン類の分子内スピロ環化平衡の化学的知見を深化させてきた。具体的には、ローダミン誘導体群を合成し、分光学的手法やレーザーフラッシュフォトリシス法を用いた詳細な検討により、(1)分子内スピロ環化平衡の平衡定数(pKcyc1)及び(2)開環体が閉環体へ変換されるまでの時間(τ)が大きく変化することを見出した。今年度は本知見に基づき、ローダミン類の分子内スピロ環化平衡を超解像蛍光イメージングプローブへ応用した。超解像蛍光イメージング法の一種であるSingle-molecule localization microscopy (SLM)は蛍光色素を順番に光らせ、その位置を精確に決定することによって数10nmの空間分解能の画像を取得する手法である。一般的な蛍光色素を用いる場合、無蛍光状態に変換するために、高濃度のチオール存在下での高強度のレーザー照射が必要である。ローダミン類の分子内スピロ環化平衡を最適化することで添加物やレーザー強度に依らない汎用性の高いSLMプローブが開化できるのではないかと考えた。そのためには、同時に光る分子がごく僅かであること(pKcyc1が6以下)と顕微鏡のカメラのフレーム程度の時間光った後に消えること(τが10-数100ms)が必要である。分子内求核基と蛍光団を変化させたローダミン類の合成・評価の結果、pKcycl=5.8, τ=245msであるHMSiRを見出した。次にHMSiRでラベル化した抗体を、カバーガラスに吸着し、一分子イメージングにより評価した。その結果、チオール等を添加することなく、従来の1/10程度のレーザー強度においても、分子内スピロ環化平衡に基づくブリンキングを示すことが明らかとなった。さらに、直径約500nmの環状DNA上に重合したRecAフィラメントのSLMに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
分子内スピロ環化平衡を示すローダミン誘導体をactivatableプローブとしてだけでなく、超解像イメージングプローブの分子骨格として評価した。その結果、従来の蛍光色素には見られないブリンキング特性を示すことが明らかとなり、開発した蛍光プローブを用いて従来必要であった添加物や高強度のレーザー強度に依らず、微小構造の超解像イメージングに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
ローダミン類の分子内スピロ環化平衡に基づく超解像イメージングプローブは、一般的な蛍光色素に比べ、添加物や高強度のレーザー照射が必要でないため、生細胞における超解像イメージングに適していると考えられる。そこで、開発したプローブを用いて生細胞における超解像イメージングを試みる。具体的には、ラベル化タンパクであるSNAP-tagを用いてチューブリンをラベル化し、微小管の超解像画像を取得する。
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Research Products
(4 results)