2012 Fiscal Year Annual Research Report
冗長関節を制御するシナジーモデルの構築とロボット制御への応用
Project/Area Number |
12J03758
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
東郷 俊太 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 関節間協調 / UCM解析 / 冗長性 / フィードバック制御 / 冗長マニピュレータ |
Research Abstract |
本研究の目的は、人間のダイナミクスパラメータを考慮することによって、人間の巧みな協調運動を再現できる、冗長系制御モデルを構築することである。申請者は本年度、人間の関節間協調の特徴に着目し、冗長多関節を協調的に制御する"UCM参照フィードバック制御法"を考案した。この方法では、手先に影響を与えない関節角の組の空間であるUCM空間から、時々刻々と一意な姿勢を決定し続けることで、関節角がばらついても手先がばらつかないような、関節間協調を再現できた。一次元で与えられる手先軌道を追従するタスクを設定し、提案法を用いたシミュレーション実験を行った。また同様のタスクを人間が行った際の腕運動を計測し、結果を比較した。その結果、腕の運動学的な特徴や関節間協調の性質を提案法はよく再現することが出来た。よって、提案法であるUCM参照フィードバック制御法は人間の制御モデルとして妥当であり、人間は時々刻々とUCM空間を参照している可能性があることを示唆した。本研究の結果は、近年注目が集まっている関節間協調がどのような制御メカニズムで達成されているのかを説明することのできる制御モデルとして有力なモデルであることを示している。本研究の次の段階として、人間の制御モデルとしての妥当性をさらに向上させるために、人間のダイナミクスパラメータ、特に人腕の機械インピーダンスの推定が必要である。また、ロボット制御への応用も行う。現状では、人腕の機械インピーダンスを推定するための実験環境の構築、ロボット制御を行うための3リンクアーム実機環境の構築が完了している。来年度は引き続き、上記の環境を用いて実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では人腕の機械インピーダンス推定と振動抑制制御モデルの考案を行う予定であった。機械インピーダンスの推定に関しては計測実験の環境を構築した。振動抑制制御モデルに関しては、代わりに平成25年度に行う予定であった冗長性制御モデルの考案を前倒しで行い、多関節腕の新しい制御モデルを提案した。その成果が学術輪文に掲載された。以上の点より、本研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度では、人腕の機械インピーダンス推定、平成24年度に提案した冗長多関節の制御モデルのさらなる拡張、ヒューマノイドロボット制御への応用に取り組む。機械インピーダンスの推定に関しては、平成24年度において計測環境を構築したので、被験者を用いた計測実験を行う。制御モデルの拡張に関しては、人間の生体としての制御モデルの妥当性をより高めるため、計測実験からの知見も考慮にいれて改良を行う。また、当初は平成24年度に行う予定であった、振動抑制制御モデルへの拡張も行う。ヒューマノイドロボット制御への応用に関しては、平成24年度において3リンクアーム実機による実験環境の構築を完了しているので、それを用いて制御モデルの有用性を確認する。
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Research Products
(5 results)