2014 Fiscal Year Annual Research Report
現代演劇における<身体>と<無意識>ー19世紀末以降の俳優訓練術の発展に即して
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12J03790
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中筋 朋 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | フランス演劇 / 俳優論 / 演劇理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の対象は、これまであまり研究されてこなかった19世紀末のフランスの演劇論である。この時代に注目したのには2つの理由がある。まず、この時期に「ドラマの危機」と呼ばれる戯曲術の変容が見られ、演劇のあり方が大きく揺るがされたからである。第2の理由は、この時代に演出という芸術が明確に成立したからである。作家とは別の人物が1人で演出を担うことにより、より総合的で抽象的な視線が誕生することになり、上演がひとつの作品として自立するようになった。本研究はとりわけ俳優についての考え方を中心に研究を進めてきた。 本年度の研究成果としては、今年の3月に完成した博士論文「無意識へのアプローチとしてのボディワーク――19世紀末フランス演劇における俳優訓練術の萌芽」が、京都大学優秀博士論文出版助成を受けることになり、世界思想社から出版が決まったことが大きい。これは単著として、2015年3月に刊行された。 出版決定を受け、19世紀末フランスの劇場の状況を詳しく説明する章を加筆することにした。そこで5月にはフランス国立図書館に調査に出かけ、19世紀のフランス演劇界を社会学的な視線から捉えられるように、資料収集をおこなった。また、このときに秋からの研究のための予備調査も同時におこなった。帰国後は、出版準備として、19世紀フランスの演劇の状況を説明する章を執筆した。この章は、19世紀末に商業演劇が確立するようになった背景を説明したものである。本研究の対象となっている演劇は、この商業演劇に反発して現れてきたものだが、それ以前の状況を具体的に説明することで、論に厚みがもたらされた。また、本研究が扱っている演劇についても、理念や上演の美学的分析だけではなく、物質的な条件や現実的な状況を書き加えることで、より多角的な角度から演出家が登場してきた時代の演劇を描き出すことが可能になった。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)