2012 Fiscal Year Annual Research Report
C末シグナルペプチド付加による輸送運命変更を利用したタンパク質の機能阻害法の確立
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12J03808
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松川 晋也 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | KDEL配列 / SKL配列 / TGF-beta superfamily / 分泌タンパク質 |
Research Abstract |
小胞体保留シグナルとして機能するKDEL配列を人工的にTGF-beta superfamilyタンパク質へ付加し、強制的に発現させることで内在性のTGF-beta superfamilyタンパク質を阻害することができる事が明らかとなった。本手法がTGF-beta superfamilyタンパク質以外の多量体形成分泌タンパク質へ応用することが可能か、1)水素結合型二量体形成分泌タンパク質であるTsgへ導入すること、また、2)細胞質内の輸送配列を利用することで細胞室内における多量体形成タンパク質に対する阻害効果が得られるか検証することにした。 1)TsgおよびTsg-KDELのmRNAをツメガエル胚に顕微注入し、その機能を評価した。その結果、TsgmRNAを過剰発現した胚と同様に、Tsg-KDELmRNAを顕微注入しても異所的な肛門構造が観察された。本来、内在性のTsgに対して阻害的に機能する事が予想されたTsg-mELがTsgと何ら代わりのない表現型を示したことに対して、KDEL tagが構造的な問題からtagとして機能しなかった事、または小胞体保留中に他の分泌タンパク質へ影響を与え、結果的にTsgを過剰発現した時と類似したシグナル伝達が生じた可能性を念頭に置きTsg-KDELの局在、または他の候補因子の応用可能性を調査していく。 2)細胞室内における輸送配列を利用した阻害法としてSKL配列付加型阻害法が実現可能か検証することを行った。その結果、核内で二量体形成する転写因子SiaにSKL配列を付加したSia-SKLmRNAを強制発現させた場合、内在性Siaに対して阻害的に働く事が示された。しかし、Sia-SKLを過剰に発現させることで輸送可能なタンパク質量が飽和してしまったためか、わずかながら、Sia-SKLにおいてもSiaを過剰発現させた時と同様の表現型が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TGF-beta superfamilyタンパク質以外の分泌タンパク質においてKDEL配列付加型阻害法の応用成果があまりみられない一方で、SKL配列付加型阻害法が新たな内在性タンパク質の機能阻害法としての可能性を見いだすことに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
KDEL配列付加による分泌阻害法が応用できる可能性を検証するために、Tsgのみならず、さらに他の分泌タンパク質に対して応用可能か検証していく。また、SKL配列付加による輸送運命変更を利用した内在性タンパク質の阻害法に関しても同様に、応用できる可能性を秘めた遺伝子に対して導入していく。また、どちらの阻害法においても評価系をツメガエル初期胚と平行して、適した培養細胞株を用いた評価を行っていく。
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Research Products
(3 results)