2012 Fiscal Year Annual Research Report
全球農業水資源モデルの構築及び全球収量ポテンシャルの推定
Project/Area Number |
12J03816
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小槻 峻司 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 全球解析 / 水資源管理 / 水資源モデル / 気候変動 / 灌漑 / 日本 / 食糧生産 / 衛星観測 |
Research Abstract |
本研究の目的は,農業生産活動と陸域の水循環との関わりを解析可能な農業水資源モデルを構築し,以下の点を明らかにすることである.1.水利用効率や作物気候適性を考慮した農業水資源モデルの構築による全球収量の再現2.現在気候下及び将来気候下で最適な水利用・土地利用を行った場合の全球収量ポテンシャル本年度の研究成果は以下の成果を挙げた. 1)全球農業水資源モデルへの第一段階として,日本域農業水資源モデルを開発した.このモデルには,従来の自然水循環系の物理モデルに,新たに貯水池操作モデル,稲成長モデルを組み込んだ.統計データや観測気象データが良く整備された日本域で全球農業水資源モデルの基本となる枠組みを整備し,検証を行った. 2)群知能最適化手法(PSO)を用いたパラメータ同定アルゴリズムを作成した.最適化手法は,目的関数の設定によってパラメータ同定に用いることが可能である. 3)全球水資源モデルを計算する上で必要となる,土地被覆・気象データ作成アルゴリズムを開発した.このアルゴリズムは,領域・解像度のみを変更することで,モデル計算に要するデータを自動作成する. 4)全球気候モデル(GCM)の結果を用いた温暖化の影響評価を,1)で開発した日本域モデルを通じて行った.補正されたGCM出力を用いて,気候変動が,河川流況・水資源不遜量・水需給バランス・稲収量などに与える影響を評価した.加えて,気候変動への適応計画として,将来気候下に於いて耕作時期を変更した場合の収量や水ストレス変化を解析した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに研究が進んでいる.今年度は,日本域における農業水資源モデルを開発し,検証を終えたことが大きな成果である.将来気候下に於いて行った,気候変動への適応計画実験も非常に有意義であった.全球スケールの水循環解析では,MIRCA2000に代表されるような新たなデータを意欲的に活用していっており,次年度以降も発展が期待できると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,当初の研究目標を遂行する為に,陸域水循環モデルのデータ同化手法の開発について重点的に取り組む方針である.具体的に次年度行う研究計画は,以下に示す通りである. 1)水文陸面過程モデルと,河道流下過程のカップリングを行う.現在の陸域水循環モデルは,鉛直方向水収支と水平方向の流下をオフラインで結合しているが,Multi-objectiveなデータ同化を行う際には,陸面過程と河道流下過程がオンラインで結合されている必要がある. 2)データ同化手法として,アンサンブルカルマンフィルタのアルゴリズムを開発する.データ同化に用いるデータとしては,重力衛星GRACEから出力される地表面滞水量変化や,全球河川流量データベースGRDC等から得られる河川流量を用いる方針である.
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Research Products
(13 results)