2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞間コミュニケーションを介した薬物肝障害のメカニズムの解析
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12J03852
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
斎藤 千恵子 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アセトアミノフェン / 初代肝細胞 / ギャップジャンクション / 細胞死 |
Research Abstract |
APAPによる肝細胞死の詳細な分子機序を理解するために、マウス初代培養肝細胞を用いた解析を行ってきた。タイムラプス顕微鏡により、単独に存在する肝細胞はAPAP処理により、それぞれ時間的にランダムに細胞死を起こすのに対し、カプレット(接着している2つの肝細胞)の場合は、カプレット間では異なるタイミングで細胞死が起こるが、1つのカプレット内では、2つの細胞が同期して細胞死を起こすことが明らかになった。次に、APAPに対する感受性が異なる雌雄の肝細胞を接着させると、1)細胞間で蛍光色素の移行がある事、2)APAPによる細胞死のタイミングはほぼ一致する事が観察された。 これらの結果から、細胞内ギャップジャンクション(細胞間結合)を通してシグナルがすみやかに拡散するのではないかと考えた。ギャップジャンクションは、1kDa以下の物質を細胞間で行き来させる連絡結合でありConnexinと呼ばれる膜タンパク質の六量体で構成されている。肝細胞にはConnexin 32と26が発現していることがよく知られている。そこで、Connexin 32ノックアウトマウスと、(connexin 26ノックアウトマウスは胎生致死のため)Connexin 26 siRNAを用いて解析を行った。その結果、Connexin 26と32の両方の遺伝子を欠失した系では、アセトアミノフェンによって接触している肝細胞が同時に死ぬという現象が見られなくなるという事を発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予想通りの結果となったため、予定通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、細胞間を行き来する細胞死シグナルを制御する物質の同定を目指したい。
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Research Products
(1 results)