2013 Fiscal Year Annual Research Report
転写制御因子による始原生殖細胞エピゲノムリプログラミングの再構成と分子機構の解明
Project/Area Number |
12J03853
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中木 文雄 京都大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 始原生殖細胞 / 多能性乾細胞 / 転写因子 / TF-PGCLCs |
Research Abstract |
本研究では、マウス始原生殖細胞(primordial germ cells ; PGCs)の運命決定過程におけるエピゲノムリプログラミングの分子機構を解明することを目標として、in vitroにおけるPGC様細胞(PGC-like cells ; PGCLCs)誘導システムを活用し、運命決定に重要な転写因子の機能を解析した。前年度までに、Blimp1、Prdm14、Tfap2cの3遣伝子をエピブラスト様細胞(Epiblast-like cells : EpiLCs)に発現させると、PGCsのレポーター遺伝子(Blimpl-mVenus, Stella-ECFP)が陽性となり、これらのレポーター陽性細胞が機能的な精子へ分化することを確認した。これらのレポーター陽性細胞を、TF-PGCLCs (Transcription factor-induced PGCLCs)と命名した。 本年度は、これら3遺伝子によるTF-PGCLCs誘導機構を詳細に解析するため、それぞれ1遺伝子のみを発現する細胞を樹立し、各遺伝子がどのような遺伝子群を調節しているか、マイクロアレイ法を用いてゲノムワイドに解析した。その結果、Blimp1およびPrdm14遺伝子によって、生殖細胞の運命決定に重要な遺伝子群の転写が活性化することが判明した。特にPrdm14遺伝子が、これらの遺伝子群を強く活性化していた。さらに、Prdm14遺伝子は、Klf4、Mycといった多能性に関係する遺伝子群の転写を活性化していた。一方で、Blimp1遺伝子はこれらの遺伝子の転写を抑制しており、生殖細胞の発生において、Blitnp1遺伝子が多能性遺伝子群を調節し、適切な分化に寄与していることが示唆された。 本研究によって、マウス生殖細胞誘導の十分条件となる転写因子群が特定され、エピゲノムリプログラミング分子機構を詳細に解析する基盤が形成された。また、本研究は、転写因子を用いて哺乳類生殖細胞の誘導が可能であることを初めて示したものであり、他の動物種においても同様のアプローチがなされうることを示唆するものである。 これらの実験結果については、取りまとめて学会発表、論文発表を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
|
Research Products
(6 results)