2013 Fiscal Year Annual Research Report
プラズモニックアレイによるナノ空間光マニピュレーション
Project/Area Number |
12J03862
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 嘉人 北海道大学, 電子科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 金属ナノ構造 / 光放射圧 / プラズモントラッピング / 局在プラズモン / 光局在場 / ナノマニピュレーション / 金ナノブロックペア |
Research Abstract |
90nmの距離に二つのナノギャップを有するダブルナノギャップ構造を新たに発案し、前年度に構築したプラズモン局在場で働く放射圧を計算するMaxwell応力法を使ってナノブロックサイズ、ギャップサイズをパラメーターに放射圧ポテンシャルの計算を行い、実験で使用する波長1064nmのレーザー光照射によってナノ粒子を90nm離れた二つのギャップ上において数ナノメートルの小さな位置揺らぎで長時間安定に捕捉するためのナノ構造パラメーターを見いだした。最適化したナノ構造は、電子線ビームリソグラフィ/リフトオフ法によって作製し、SEMやAFMによって形状を、顕微分光によりプラズモン共鳴特性を、近接場顕微鏡により光局在場分布を評価し、シミュレーションで用いたモデルと極めて近い形状・特性を得る事ができた。次に、前年度に開発した高速で運動している捕捉ナノ粒子の正確な位置揺らぎ情報を獲得するシステムを使って、最適化したダブルナノギャップ構造を用いた100nmナノ粒子光トラッピングを解析したところ、みごと90nmの距離を隔てた二つのポテンシャル井戸の観察に成功した。さらに、このダブルポテンシャル井戸を用いて、二つのナノ粒子を同時に光捕捉することによって、ギャップの配列に沿って回折限界以下の空間に二つの粒子を配列できることを明らかにした。このような2個のナノ粒子の超解像光トラッピングは従来の集光レーザーを用いた方法では実現が不可能であり、今後単一分子レベルでのタンパク質分子間相互作用力の直接観察および定量的測定に発展する極めてインパクトの高い結果である。実際、ダブルナノギャップ構造を用いることによって単一100nmだけでなく単一40nmのナノ粒子トラッピングも現在のところ成功しており、さらなる最適化を行えば単一タンパク質分子のプラズモントラッピングも十分可能性があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究課題の核となる部分についてはすでにほとんど達成しており、その成果についてもナノサイエンス分野最高峰とされるNano Letters紙に掲載することができた。さらに、この研究課題を強く飛躍させるため、プラズモニクスで有名なロンドンのインペリアル・カレッジに長期間海外渡航し、これまでの方法を遥かに上回る精度および最適化を実現するシミュレーション系を新たに構築することに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、今年度に提案したダブルナノギャップ構造に様々な波長の光を斜入射することで実現する光局在スポットマニピュレーションにより、これまでは単に一点でナノ粒子を位置させるだけであったプラズモントラッピングをナノ空間マニピュレーションへと展開する。また、プラズモン共鳴を励振する際に生じる局所温度上昇の影響を低減させるため、金属ナノ構造を熱伝導性高い基盤に作製し、ヒートシンク効果を確かめる。
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Research Products
(3 results)