2012 Fiscal Year Annual Research Report
残留応力解析を用いたSiC基複合材料の中性子照射下強度のモデル化
Project/Area Number |
12J03915
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小柳 孝彰 京都大学, エネルギー科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 炭化ケイ素複合材料 / 中性子照射 / スウェリング / 照射下クリープ |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、中性子照射下における炭化ケイ素(SiC)基複合材料の強度予測モデルを構成要素である繊維、マトリックスの特性から構築することである。平成24年度は、強度予測モデル開発に必要な要素であるスウェリングと照射下クリープについての研究を実施した。 スウェリングについて、イオン照射後、原子間力顕微鏡を用いて複合材料中の繊維のスウェリングを評価し、スウェリングの照射温度依存、照射線量依存性を明らかにした。SiC繊維のスウェリングに関する知見は、その測定方法の困難さにより極めて限られていたため、イオン照射法を用いて0.05%の正確な精度で繊維のスウェリングを評価できたことは他に類を見ない成果である。焼結siCのスウェリング機構について、電子顕微鏡を用いた微細組織観察、X線回折の組み合わせにより、SiC中に存在する第2相の照射誘起アモルファス化の寄与があることを明らかにした。 SiC材料の中性子照射下照射下クリープは、曲げ応力緩和法により評価した。クリープ挙動と、電子顕微鏡を用いた微細組織察によって、液相焼結法で作製されたSiCの中性子照射下クリープが、SiC中の粒界や粒界ポケットに存在する第2相におけるすべりや拡散に起因する可能性を示した。 以上のように、平成24年度に実施した研究によって、次年度のSiC複合材料の中性子照射下強度予測のパラメーターとなるスウェリングと照射下クリープの知見を十分に得えて、次年度研究フェーズに進める状況にある。 さらに、中性子照射されたSiC複合材料の引張強度特性の解析を行い、SiC複合材料の強度特性に及ぼす中性子照射効果には、照射による残留応力変化の有意な寄与があることを明らかにした。また、その残留応力変化が、スウェリングと照射クリープによって定性的に説明できることを示した。この成果は、次年度の複合材料の中性子照射下強度予測モデルの構築をする上で重要な知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
炭化珪素複合材料は、これまでに優れた耐照射特性が示されているが、繊維、マトリックス、界面で構成され、それぞれの要素に対する照射特性やそれに伴う残留応力変化等により、照射下での材料挙動は非常に複雑である。構成要素に関するスウェリングや照射下クリープといった、重要な特性をイオン照射や中性子照射実験により求め、炭化珪素複合材料の照射下挙動の解析を進め、中性子照射下での破壊挙動に関する理解を深め、炭化珪素複合材料の中性子照射効果を論理的に説明できるような知見が得られたことは特筆すべき成果であり、期待以上の進展が認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年までに得られたスウェリングおよびクリープの結果をパラメーターとして、照射下強度予測のための複合材料中の残留応力モデルの構築を行う。現存する1方向に繊維強化した複合材料の熱残留応力評価モデルにスウェリング・照射下クリープ相互効果を導入する。残留応力モデルと複合材料強度の理論式を組み合わせることにより、複合材料の照射下強度予測モデルを完成させる。 また、中性子照射材の引張り試験を行い、予測結果と実験結果を比較する行うことで、モデルの妥当性を検討する。
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