2012 Fiscal Year Annual Research Report
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12J03917
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
山越 裕太 上智大学, グローバル・スタディーズ研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 国際連盟 / グローバル・ガヴァナンス / 国際制度 / 国際連盟保健機関 / 戦間期 / 国際保健 / 国際衛生行政 / 国際組織 |
Research Abstract |
第一次世界大戦後、普遍的国際機構である国際連盟が国際平和の維持及び国際協力の促進を目的として設立された。本研究の目的は国際連盟の国際協力活動、特に保健衛生分野を対象として国際保健衛生活動が発展した要因を一次資料を用いて実証的に解明することにある。 本研究は二段階に分けて研究を進める計画であり、第一段階としてスイス、ジュネーヴの国際連盟資料館において国際連盟保健機関の一次資料の収集を行った。調査資料に基づき国際連盟保健機関の創設過程を検証した。 国際連盟保健機関は、国際連盟規約に目的規定が定められたことで創設が始まる。目的、任務規定は早い段階で具体化され合意に至るが、組織構造について修正する余地が残されていた。当該機関の創設過程において重要な局面は、組織構造変更の是非が問われた場面であった。今後設立される国際保健組織の目的及び任務を考慮し柔軟に組織構造を修正した結果、国際連盟保健機関は国際連盟の専門機関でありながら国際連盟加盟国の枠に囚われることのない組織構造を備える機関となる。両大戦間期に国際協力の中でも特に保健衛生分野が発展した背景には、保健衛生分野が早期に協力活動が進展した分野であったことのみならず、国際連盟加盟国の枠を越える参画が可能な制度的特徴を国際連盟保健機関が有していたことを指摘し、その特徴的な制度の成立過程を明らかにした。 本年度は、以上の研究について学会報告を行い、論文「国際連盟保健機関の創設」として学会誌に投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究蓄積に乏しい両大戦間期の国際保健衛生活動の一次資料を渉猟する計画であった。2012年11月にスイス、ジュネーヴの国際連盟資料館において国際連盟保健機関の一次資料を確認し、事実関係の確認を行った。上記の事実確認に加え学会報告や論文を通じて成果の具体化にも努めた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は両大戦問期及びその前後を通して国際保健衛生活動は継承され発展していたことを検証することにある。研究を二段階に分け本年度は主に事実関係の確認を行った。今後は把握した国際保健衛生活動の歴史的展開、発展とその要因分析を行う計画である。特に国際連盟保健機関が関与した栄養、ビタミン分野の定義・科学的基準を定めた国際会議に着目する。国際組織、国家、保健衛生分野の実務家等多様な行為主体が参画し会議が進行していく過程を明らかにする。 新たな資料または不足資料の収集のため2013年11月に国際連盟資料館への調査を予定している。
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Research Products
(2 results)