2012 Fiscal Year Annual Research Report
Srcファミリーキナーゼ活性を制御するラフト機構の解明:1分子観察法による研究
Project/Area Number |
12J03930
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白居 祐希 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 脂質ラフト / Srcファミリーキナーゼ |
Research Abstract |
SrcファミリーキナーゼLynの活性化/不活性化の切替が、タンパク質間、及び、ラフト脂質問相互作用の協同によってなされているという作業仮説の解明のため、Lynによってリン酸化され、同時にLyn不活性化のための足場タンパク質にもなる膜貫通型タンパク質Cbpに着目した。従来は、Cbpは常にEBP50-ERMを介してアクチン骨格と結合し、そこでほかのシグナル分子と相互作用するという静的なモデルが定説であったが、本研究によってCbpは常に拡散運動を行うことが明らかになった。 このため、CbpとEBP50、ERM、アクチン骨格の結合、および、LynによるCbpリン酸化が、これらのタンパク質の結合に与える影響を検討した。まず、EBP50の1分子観察を行うため、EBP50の1分子観察用プローブの作製を行った。イリノイ大学Wonhwa Cho教授よりGFP-EBP50を分与していただき、より長時間の1分子観察を可能にするため、GFP部分をHaloタグに置換し、HaloタグフユージョンEBP50のコンストラクトを作製した。さらに、発現量を抑えるため、ベクターをpOsTetベクター変更し、Halo-EBP50の発現量を1細胞当たり1000個程度にした。すなわち、過剰発現に全くならないような条件を実現した。 EBP50の1分子観察の結果、EBP50が細胞質タンパク質としては、非常に珍しい挙動を示すことが明らかとなった。EBP50は、ERM-アクチン骨格に結合して、常に停止していると思われていたが、実際には、EBP50は細胞膜上を拡散運動しながら、1.8秒に1回、0.5秒程度の一時停止をくり返すことがわかった。さらにEBP50の細胞膜上での滞在時間には2種類あり、0.7秒と6秒であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膜貫通型タンパク質Cbpの挙動を直接に制御する機構として、EBP50の1分子観察に成功し、さらにEBP50とCbpの相互作用の研究も進んでおり、総じて、順調な研究の進展である。 今後は、EBP50とCbpを1分子同時観察し、EBP50の一時停留とCbpとの関連、さらにLynによるCbpのリン酸化との関連を調べる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
また、膜貫通型タンパク質Cbpは、活性化されたLyn、及び、ラフト脂質の両方の相互作用のためCD59会合体ラフトにリクルートされる、という作業仮説の検証を進めている。すなわち、直径40nmのyellow-green蛍光ビーズ(励起波長488nm)で誘導した、CD59会合体ラフトに、CbpとLynがどのような時間差でリクルートされるのかを、直接に解明したいと考えている。
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