2012 Fiscal Year Annual Research Report
植物のエネルギー代謝におけるオートファジーの意義とその制御機構の解析
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12J03942
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
泉 正範 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(PD) (80714956)
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Keywords | オートファジー / 葉緑体 / エネルギー生産 / シロイヌナズナ / イネ |
Research Abstract |
本研究では、植物の成長や生存戦略を支えるエネルギー恒常性の維持機構において、体内栄養リサイクル系であるオートファジーが担う生理的意義と、その制御の分子メカニズムについて明らかにすることを目的とし研究を行っている。 本年度は、Rubisco-containingbody(RCB)/オートファジーによるエネルギー供給の生理的意義について評価を行い、オートファジーが糖に代わる呼吸基質としてのアミノ酸供給を担うこと、さらにその供給機能が光合成による糖獲得が制限される短日条件下においてシロイヌナズナの成長に寄与していることを明らかにした。また一方で、シロイヌナズナ葉においてRCB形成の誘導様式について解析を行った結果、紫外線照射によりオートファジーによる葉緑体成分の分解が誘導される可能性を見出した。オートファジー欠損変異体では、紫外線照射後に葉の枯死が野生体に比べ早く起き、生存率も低下したことから、紫外線障害により機能が失われた葉緑体の分解に、オートファジーが機能していることが考えられる。 また、オートファジーから呼吸系へのエネルギーフローの評価を行うために、オートファジーに必須の遺伝子と、ミトコンドリア内でのアミノ酸異化代謝・エネルギー生産に関わる遺伝子との二重変異体系統を交配により作出し、代謝物解析に必要な変異体系統の整備が完了した。イネについては、オートファジーに必須の遺伝子OsATG7に内在性レトロトランスポゾンが挿入された変異体を獲得し、オートファジーの可視化・評価のための蛍光タンパク質発現系統を形質転換により作出した。その形質転換体を用いてRCBの検出を行い、イネ葉においてもRCB/オートファジー系が機能することを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度において、植物のエネルギー代謝におけるオートファジーの意義として、糖に代わる呼吸基質供給系として光合成制限下でのシロイヌナズナ成長に寄与する、という一つの重要な役割を示すことができたとともに、今後の解析に必要な変異体や形質転換体系統の整備をほぼ完了することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
大きな研究計画の変更は必要なく、概ね当初の計画に沿って今後も研究を推進していく。ただし、これまで実験系が確立されていないクラミドモナスを使用した変異体選抜に関しては、計画の実現性を考慮しながら研究を進めていく必要がある。
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Research Products
(9 results)