2013 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌におけるアンドロゲンによる遺伝子のメチル化制御機構の解明
Project/Area Number |
12J03948
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
波多野 浩士 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 前立腺癌 / アンドロゲン / DNAメチル化制御 / シアル酸転移酵素 / 不活化センダイウイルス |
Research Abstract |
不活化センダイウイルス(HVJ-E)の受容体であるガングリオシド、GD1aの前立腺癌における発現の意義を解明すべく、GD1aの合成酵素であるシアル酸転移酵素(ST3Ga1)の前立腺癌における転写制御について研究を進め、前立腺癌の悪性度と相関する転写因子であるRe1BがST3Ga1の転写を制御することを発見した。本研究では、前立腺癌におけるST3Ga1のプロモーター領域のCpG islandのDNAメチル化状態の解析を行い、アンドロゲンによるその制御機構について検討を行った。 メチル化特異的PCR法を用いてST3Ga1のCpGメチル化状態を検討したところ、アンドロゲン非依存性前立腺癌細胞(PC3、DU145)ではアンドロゲンの有無にかかわらず脱メチル状態に維持されていた。一方、アンドロゲン感受性前立腺癌細胞(LNCap)では低アンドロゲン培養下ではメチル化状態であったが、アンドロゲン投与により脱メチル化された。また、このアンドロゲンによるST3Ga1のCpGメチル化制御は抗アンドロゲン剤であるビカルタミドの投与により抑制された。さらに、Re1BのsiRNAを用いてRe1Bの発現を抑制するとアンドロゲン投与によりST3Ga1のCpGが脱メチル化されてもST3Ga1の発現は上昇しなかった。これらの結果から、アンドロゲン感受性前立腺癌では低アンドロゲン下ではST3Ga1はCpGメチル化状態にあるためその転写が抑制されており、アンドロゲンによりCpG脱メチル化が誘導され、Re1Bがその転写を制御できるようになると考えられた。 前立腺癌の進展に遺伝子のCpGメチル化制御が関与することはすでに報告されているが、そのCpGメチル化制御にアンドロゲンが関与することを示唆する発見となった。本研究成果は臨床上重要な課題である前立腺癌治療におけるHVJ-E治療の有用性を追求するにあたり非常に重要であるとともに、前立腺癌の進展機構の解明にも迫る独創的な研究成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(抄録なし)
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(1 results)