2012 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化に伴う沿岸外力の将来変化予測と適応策への適用に関する研究
Project/Area Number |
12J03985
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
志村 智也 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 将来変化予測 / 温暖化 / 波浪 |
Research Abstract |
1,波浪モデルにおける,風からのエネルギー輸送,非線形エネルギー輸送のモデル化の違いによる全球の波浪統計量への影響を求めた.エネルギー輸送項のモデル化の違いによって全球の波浪統計量が変化することがわかった.特に,うねりが卓越する領域では違いが大きくなる.既往の研究で,将来,うねりが低緯度で大きくなることが予測されているが,その増加量は波浪モデルによる不確実性が大きい. 2,気候変動を表す指標としてテレコネクションパターン(TCP)がしばしば用いられる.我々は,気候変動に対応した波浪の長期的変動を明らかにするため,波浪の長期変動をTCPで説明することを試みた.北半球における波高の変動に対する,12のTCPの影響範囲をそれぞれ示し, TCPが場所によって複雑に影響することを示した.また,これまで一切論じられていなかったWestPacificパターンと北太平洋における緯度に依存したバンド状の波高変動パターンの関係を見出した. 3,マルチモデルアンサンブル波浪予測が行われているが,モデル間のばらつきの原因等の因子に関する議論は現在なされていない.長期予測の気候学的分析は重要であるため,波浪の将来変化予測を行うとともに,海面水温(SST)の違いに起因する予測のばらつきを評価することを目的とした研究を開始した.気象研MRI-AGCM-3.2Hで長期積分された海上風を使用し,波浪モデルにはWAVEWATCH IIIを用い,現在気候1979-2009年,将来気候2075-2099年の波浪長期積分を実施した.計算結果から全球および北西太平洋の波浪の将来変化傾向とSSTによる将来変化のばらつきを示した.全球において季節ごとの平均波高の将来変化は,約±0.4mの範囲内である.アンサンブル間の将来変化の幅も同程度である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的を将来変化予測とその不確実性評価としており,24年度にマルチモデルアンサンブル実験を開始し,予測の不確実性の評価が可能になったことは,目的に沿った進展であるといえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
波浪の将来変化予測のマルチモデルアンサンブル実験の計算が完了したので,そのデータセットを用いて詳細な解析を行う.
|
Research Products
(4 results)