2013 Fiscal Year Annual Research Report
最終氷期以降のサンゴ礁生態系の復元による地球温暖化影響下の生態系予測
Project/Area Number |
12J04044
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
本郷 宙軌 琉球大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | サンゴ礁 / 掘削試料 / 鍵種 / 地球温暖化 / 人為影響 / 底生有孔虫 / 地形測量 / 台風 |
Research Abstract |
本研究は次の3つの計画から構成されている. 計画1 : 過去のサンゴ礁生態系の復元(最終氷期以降のサンゴ礁試料を用いて, 過去のサンゴ礁生態系を復元する. とくに, サンゴ礁生態系の成立維持に関わった重要な生物(以下, 鍵種)を発見する.) 計画2 : 現在のサンゴ礁生態系の評価(過去100年間を対象に, 地球温暖化と人為影響を受けたサンゴ礁生態系の現状評価を行う.) 計画3 : 将来のサンゴ礁生態系の予測(将来の地球温暖化と人為影響下におけるサンゴ礁生態系の予測を行う.) 計画1の実施状況 : ハワイ大学に滞在し, ハワイで採取されたサンゴ礁掘削試料を用いて鍵種の解析をおこなった. また, 南西太平洋と西インド洋における鍵種発見の成果をまとめて, その一部を国際誌に投稿した. これまでの中間報告として, インド洋から太平洋におけるサンゴ礁生態系の鍵種発見について, 日本サンゴ礁学会第16回大会にてポスター発表をおこなった. 計画2の実施状況 : 沖縄本島のサンゴ礁生態系を対象にして, 地球温暖化と人為影響の現状評価を行なった. 高水温による影響に堆積物流出の人為影響が加わると, 鍵種が減少しその後は回復しないことが明らかとなった. 計画3の実施状況 : 沖縄県石垣島のサンゴ礁生態系を対象に将来予測をおこなった. とくに, 地球温暖化影響の海面上昇と台風の巨大化に注目したところ, 鍵種が減少している西海岸では今後, サンゴ礁生態系の成立が困難になる可能性が高いことが明らかとなった. また, 海洋酸性化と台風の影響を評価するために鍵種の一つであるコユビミドリイシを対象にして, サンゴ骨格の密度測定を琉球大学瀬底研究施設にておこなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つの計画がそれぞれ進んだ. とくに, 計画2の沖縄本島のサンゴに関する研究は新聞等において取り上げられた. また, 台風とサンゴ礁に関する研究をまとめた成果が国内誌に受理されたことで, 今後, この分野が発展する可能性が出てきた.
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Strategy for Future Research Activity |
以下の3つについて重点的に進める. 1. 計画1について : 日本国外のサンゴ礁生態系を対象にして研究を継続する. 2. 計画2について : 沖縄本島以外を対象にしてサンゴ礁生態系の評価を行なう. とくに, 鍵種の変化とその被度を明らかにする. 3. 計画3について : 知見が集積してきた沖縄県石垣島を対象にして将来のサンゴ礁生態系の予測を行なう.
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Research Products
(5 results)