2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J04056
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中川 剣人 早稲田大学, スポーツ科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 複数肢協調運動 / 動作方向 / 認知 / 受動運動 / 運動イメージ |
Research Abstract |
ヒトが二肢を協調させて動かすとき、それぞれを同方向に動かすときは安定するが、逆方向に動かすときは不安定である。本研究は、このような二肢協調運動の動作方向の制約を規定する要因を行動学的、心理学的、神経科学的に明らかにすることを目的としている。 【行動実験】動作方向の制約を規定する要因として、二肢を動かすことによって肢間で生じる遠心性・求心性の神経相互作用と認知作用の貢献度を調査した。遠心性の神経相互作用を検討するために受動運動を用い、求心性の神経相互作用、認知作用の検討には、注意の向きを操作した。手足とも能動的に動かす課題と、受動的に動く足に合わせて手を能動的に動かす課題のパフォーマンスを比較したところ、両課題とも同程度に動作方向の制約が発現した。また、受動的に動く足に注意を向けずに手を動かすと、動作方向の制約が発現しなかった。これらのことより、意識下で起こる肢間の神経相互作用の効果ではなく、より認知的な要因が動作方向の制約の発現に関係していることが示唆された。 【心理実験】上記の行動実験の結果を踏まえ、高次認知活動の貢献度を心理実験から調査した。実験では、手足とも実際に動かす課題、手足とも動かすイメージを行う課題、一肢は実際に動かし、もう一肢はイメージを行う課題を設けた。各課題とも同方向、逆方向動作(あるいはイメージ)を行い、課題遂行に要した時間を評価指標として、イメージの難易度を推定した。その結果、いずれの課題も同方向より逆方向の方が所要した時間が長かった。これは、純粋な認知活動であるイメージ中でも動作方向の制約が発現することを示す。よって、二肢の協調運動の動作方向の制約の発現は、やはり認知的要因によるところが大きいことが考えられる。 今後は、認知活動を支える脳活動を計測し、制約の発現に関わる脳領域を特定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度内に手足協調運動の動作方向の制約に関わる脳活動領域の測定実験を完了できなかったことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在進行中の手足協調運動の動作方向の制約に関わる脳活動領域の測定実験を完了させ、両手協調運動の動作方向の制約に関わる脳活動領域の測定実験を開始する。また、行った実験の成果を論文にまとめ、国際雑誌に投稿する。
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Research Products
(2 results)