2012 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮幹細胞の同定および血管新生の新規分子機構の解明
Project/Area Number |
12J04073
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
若林 卓 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 血管新生 / 加齢黄斑変性 / 血管内皮幹細胞 / Side population(SP) |
Research Abstract |
糖尿病網膜症や加齢黄斑変性症などの眼疾患は中途失明原因の上位を占める重篤な疾患である。これらの疾患は網膜血管および脈絡膜血管における病的血管新生が中心的病態であり、血管がどのように形成され維持されるのかを研究することが病態解明に重要である。 本研究では、成体の各臓器において血管新生の際に中心的な役割を果たす潜在的増殖活性の高い血管内皮細胞を、Hoechst33342を使用したSide population(SP)法により同定した。この血管内皮SP細胞は、成体の各臓器に数%で存在すること、潜在的細胞増殖活性を有すること、下肢虚血などの低酸素刺激やレーザーを用いた実験的脈絡膜新生血管モデル(加齢黄斑変性症のマウスモデル)で増殖活性を示し血管新生に関与することなどが判明した。 さらに、潜在的増殖活性の高い血管内皮細胞の生理的意義や眼血管新生疾患との関連性を解明するために、血管内皮障害モデルによる血管内皮移植の実験系を確立し、血管内皮SP細胞が連続移植可能な幹細胞性を有する可能性があることを確認した。さらに潜在的細胞増殖にかかわる分子の遺伝子制御などにつき検討を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
血管内皮幹細胞の特徴を有する細胞をEACSを用いて再現をもって採取することが可能となった。さらにこの細胞の潜在的増殖活性および血管構築能をvitro、vivo両面で明らかにした。また、vivoにおいてこの細胞が幹細胞性を有する可能性を確認し、下肢虚血などの低酸素刺激やレーザーを用いた実験的脈絡膜新生血管モデル(加齢黄斑変性症のマウスモデル)で血管新生に関与することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
血管内皮SP細胞の生理的意義や眼血管新生疾患との関連性をさらに解明するために、潜在的細胞増殖にかかわる分子の遺伝子制御、生体内における起源や局在を探索していく。 血管内皮SP細胞が眼血管新生の際に中心的な役割を果たしていることが判明すれば、血管内皮SP細胞を選択的に制御する方法を開発することにより新たな治療法をもたらすことができる可能性がある。
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Research Products
(1 results)