2012 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー宇宙線観測による近傍加速源・暗黒物質の探索
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12J04098
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
仁井田 多絵 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 宇宙物理 / 高エネルギー宇宙線 / 暗黒物質 |
Research Abstract |
本研究の目的は、国際宇宙ステーション(ISS)において宇宙線加速源の探索や暗黒物質の正体解明を目指す、高エネルギー宇宙線検出器CALET(CALorimetric Electron Telescope)の性能評価と初期解析を行うことである。 平成24年度はその一環として、9-10月と1-2月の2期にわたってスイスのCERN-SPS加速器施設でビーム照射試験を行ない、CALET熱構造モデルに対して様々なエネルギーの電子、陽子、重粒子ビーム等を照射した。これによって、実際のISS搭載装置とほぼ同等の機能をもつ検出器でエネルギー分解能、角度分解能、電荷分解能等の基礎性能を導出し、シミュレーション計算の妥当性を検証したことは、CALET観測計画において欠かすことのできないステップであり最重要の成果である。またこれらの実験に向け、装置状態をリアルタイムに確認できるイベントビューア、短時間で初期解析の結果を導出できるプログラムを開発したことは、本実験に向けた準備として大きな意義があった。 また上記の実験と並行して、ISS軌道上における宇宙線のエネルギースペクトルや到来方向を考慮したシミュレーション計算を行い、検出効率や粒子識別性能等の評価を行なった。これによって実際の観測対象粒子に対する実効的な観測能力を示したことは、加速器実験による検証と並ぶ重要な成果である。これらの結果については、日本物理学会2012年秋季大会、第68回年次大会、及び第13回宇宙科学シンポジウムにて発表した。 上記の他、7月にはインドで開催された国際学会COSPAR(COmmittee on Space Research)に参加し、気球実験によって実証されたCALETの観測性能について発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた加速器施設におけるCALET検出器の性能検証実験は予定通りに終了し、データ解析も順調に進行中である。またもうひとつの課題であったシミュレーション計算による観測性能評価も、粒子識別能力等基礎的な性能を一通り導出するに至り、解析の向上に努めている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はシミュレーション計算によるCALET検出器の性能検証を主として行なう。地球磁場、地球の大気で生成される二次粒子などを考慮したISS軌道上でのフラックス計算を行い、軌道上での検出器較正方法の開発等を行なう。 また、平成26年度にCALET検出器がISS上での運用を始めた後は、装置状態のモニター、出力補正、及びデータの初期解析を行ない、電子・ガンマ線等のエネルギースペクトルに対する暗黒物質の寄与の兆候等を検証する。
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Research Products
(4 results)