2013 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー宇宙線観測による近傍加速源・暗黒物質の探索
Project/Area Number |
12J04098
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
仁井田 多絵 早稲田大学, 理工学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 宇宙物理 / 高エネルギー宇宙線 |
Research Abstract |
本研究は、国際宇宙ステーション(ISS)にて宇宙線加速源の直接観測や暗黒物質の正体解明を目指す、高エネルギー宇宙線検出器CALET (CALorimetric Electron Telescope)の性能評価を行うものである。 平成25年度はその一環として、主にシミュレーションデータ解析による、軌道上装置較正手法の開発を行なった。宇宙空間における長期観測では、環境変化や経年による出力値の変動を補正するため、定期的な装置較正が必要とされる。この手法確立と精度検証のため、まずシミュレーションにより、較正に使用する宇宙線陽子の軌道上フラックスを再現し、CALET検出器との相互作用を計算した。さらに入射粒子の到来方向と相互作用位置を推定するアルゴリズムを開発し、較正に使用可能なイベントの選別を行なった。その結果、検出器を構成する各シンチレータについて、90分(ISS軌道1周期)で1回のキャリブレーションに必要な統計量が選別・取得できることが確認された。この研究成果については、日本物理学会2013年秋期大会、第14回宇宙科学シンポジウム、及び第33回宇宙線国際会議(International Cosmic Ray Conference)にて発表している。 また、シミュレーションデータ解析により、原子核に対する解析手法の開発を行なった。CALETで観測する数10GeV-1000TeVの陽子・原子核成分には、宇宙線の加速・伝播機構の解明につながる多数の興味深い事象が予測されている。これに対するCALETの観測性能を検証するため、エネルギー推定、飛跡再構成、粒子識別、スペクトル再構成までの一連の解析手法を構築し、観測予測を示した。これについては、日本物理学会第69回年次大会で発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究内容として予定していた軌道上装置較正手法の開発を行ない、詳細なシミュレーション計算により精度と効率を示すことができた。これを基に、軌道上運用プランの具体化も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はシミュレーション計算による解析手法のさらなる改善を行なう。これまで独立に取り扱ってきた電子・ガンマ線・原子核について、トリガーから粒子識別までを統一的な視点で見直し、実用的な解析手順を構築する。さらに実機の性能試験が進行し、具体的な装置特性が導出されつつあることから、それらをシミュレーションに取り入れ、より精密な較正手法の開発とエラーの見積もりを行なう。
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Research Products
(4 results)