2012 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨に着目した無血管な間葉組織の形成・維持メカニズムの解明
Project/Area Number |
12J04099
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 寛 京都大学, 再生医科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | Chondromodulin-I / enhancer / zebrafish |
Research Abstract |
軟骨は間葉系では例外的な無血管組織として知られ、軟骨が組織としての機能を維持するためには、軟骨ECMへの血管侵入から守られる必要がある。これまで、軟骨細胞の分化制御機構については多くの研究が行われ、そのメカニズムが明らかになってきたが、一方で、無血管状態を維持し続けるという特徴的な軟骨組織の形成・維持の機構については良くわかっていない。軟骨に発現するChondromodulin I(ChM-1)は分泌型の糖タンパク質で、軟骨ECMに蓄積して血管の侵入を阻害することで軟骨組織の形成・維持に関与することが知られている。本年度は、発生が早く、胚が透明で簡単に蛍光観察が行えるゼブラフィッシュを用いて、軟骨特異的なChM-1の転写制御に関わるエンハンサー領域の同定を目的として研究を行った。 ゼブラフィッシュのChM-1遺伝子の1stATGより上流の配列とGal4を繋ぎ合わせたコンストラクトを作成した。このコンストラクトをゼブラフィッシュ胚(UAS-EGFP)への注射し、EGFPの発現を蛍光顕微鏡下で観察した結果、ゼブラフィッシュ胚において、内在性のChM-1遺伝子の発現パターンに類似したEGFPの発現が観察され、脊索、耳胞や下顎の軟骨においてEGFPの発現を認めた。そこで、レポーター遺伝子に連結するChM-1遺伝子上流の領域を徐々に狭めた結果、下顎の軟骨特異的にEGFPの発現を調節する150bpの領域を同定することに成功した。この領域は単独ではEGFPの発現を誘導できないが、minimal promoterと連結すると、下顎軟骨でのEGFPの発現を誘導した。この時、脊索や耳胞でのEGFPの発現は認めなかった。よって、この領域はChM-1遺伝子の軟骨特異的な発現制御に関与するエンハンサーとして機能している可能性が高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りin vivoで軟骨特異的なエンハンサー活性を示す領域を同定した。実験の都合上、計画していた一部の実験において、本年度と来年度の実施予定が入れ替わっている部分があるが、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、同定したエンハンサー活性を持つ領域に結合する転写因子の同定を、DNAプルダウン法を用いて試みている。これまでに、エンハンサー領域といくつかのタンパク質の特異的な結合を確認している。また、マウスの遺伝子を用いたエンハンサー領域の絞り込み実験も進行中である。
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