2012 Fiscal Year Annual Research Report
PCaPC部材のせん断破壊過程の究明に関する解析的研究
Project/Area Number |
12J04130
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
李 在満 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | プレストレストコンクリート / せん断破壊 / マクロモデル |
Research Abstract |
構造物を「造る時代」から「使いこなす時代」への転換を迎える中,日本では,地震時人命・財産を守るのみならず,地震後建物の補修・再利用も求められている。地震後部材の再利用・修復性が優れるPCaPC構造が注目されているため,PCaPC部材の破壊過程に関する理論的究明が急務であるが,せん断破壊するPCaPC部材の破壊過程はまだ,明らかになっていない。そこで,本研究は,PCaPC部材のせん断破壊過程を理論的に解明することを目指す。 上記の研究目的を達成するために,以下のように三つの段階で構成されている。現在は2段階まで研究が進んでおり,3段階の「PCaPC部材の曲げせん断統合モデルの開発」に関する研究を行う予定である。 1段階においては,PCaPC部材のせん断破壊モデルを提案した。PCaPC部材のせん断変形モデルとして,せん断ひび割れた部材に関する既往のせん断理論にPC鋼材及び鉄筋の付着応力を考慮した抵抗モデルを考えた。このモデルから部材のせん断抵抗力Vsとそれに対応するせん断変形量の関係を得ることができた。1段階における研究成果は米国土木学会(ASCE)の構造系論文誌であるJournal of Structural Engineeringに投稿して,2012年12月28日付け受理され,今後掲載予定である。 2段階においては,PCaPC部材の曲げ変形モデルを提案した。PCaPC部材の曲げ変形モデルとして,全ての曲げ変形は部材端部の圧着部で回転変形が集中して生じるロッキングモデルを用いた。このモデルから部材端部における断面の回転量とそれに対応する断面のせん断抵抗力Vfを得ることができた。 今後,3段階の「PCaPC部材の曲げせん断統合モデルの開発」に関する研究を行う予定である。任意の変形量に対して,1段階の「曲げモデル」及び2段階の「せん断モデル」によるそれぞれの内部抵抗力は,釣り合わなければならない。その釣合関係を用いることによって,変形値を増加させながら,それに対応する全体せん断抵抗力を得ることが可能である。今後の研究成果が期待されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時,想定したとおりに研究が進んでいる。交付申請時,設定した三つの解析モデル中,現在,2つのモデルが完成されており,あと1年で研究の目的を達成することには問題がないと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで開発したPCaPC部材のせん断破壊モデルと曲げ変形モデルが1つに統合されている曲げ一せん断統合型モデルを開発する予定である。PCaPC部材のせん断破壊モデル及び曲げ変形モデルから得られたせん断力の釣合関係を用いて任意のせん断力が発生する時曲げ変形量を予測するモデルを開発する予定である。
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Research Products
(2 results)