2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J04137
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
蓑茂 工将 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 不安定核 / 反対称化分子動力学 |
Research Abstract |
本研究の目的は,核力・構造論・反応論が三位一体となった微視的理論の枠組みを構築し,不安定核反応実験を解析することで,それらの核の構造と反応機構を系統的に解明することである.核図表における中性子ドリップライン近傍核は大きな変形や魔法数の変化などの性質を持つことが予想されており,これらの性質を解明したい. 今年度は,福田光順准教授(大阪大学)らの実験グループと共同で研究を進め,Mg同位体入射反応の反応断面積を解析した.Mg同位体の変形度を系統的に決定し,37Mgが極めて特異な構造である変形ハロー核である可能性を示した.この成果を現在論文にまとめている.より重い不安定核を調べるため,木村真明准教授(北海道大学)の下へ短期間の出張を行い,反対称化分子動力学の計算を習得した.現在,Ne同位体やMg同位体の次に注目されるであろうAl同位体の研究を進めている.特にプロレート変形とオブレート変形の変形共存の可能性を模索したいと考えている.核力に関する研究として,2核子間相互作用に基づく核子一核間ポテンシャルの性質を論文にまとめ,投稿中である.また,河野通郎教授(九州歯科大学)と共同で,カイラル有効理論からの核力に基づく有効2核子間相互作用の研究を開始した.このような,QCDに基づく有効相互作用の構築は世界初の試みであり,近年盛んに議論されている3核子力の効果を定量的に検証できるため,大変意義深い. さらに,坂口聡志助教(九州大学)らの実験グループと共同研究を開始した.この研究では,アイソバリックアナログ状態に励起する荷電交換反応の解析から中性子スキン厚を調べ,.非対称核物質の状態方程式を決定することを目的としている.荷電交換反応を記述する計算コードを開発したので,今後,系統的な解析を進めていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定どおり,木村准教授の下で反対称化分子動力学の計算を習得できた.具体的な解析として,中性子数28の魔法数を持つ不安定核41Alに注目して計算を進めている最中である.反応断面積の解析では,Mg同位体だけでなくNa,Al同位体まで含めた系統的解析を実験グループと共同で行う計画を開始した.これらについても反対称化分子動力学を用いて解析する予定であり,計画は順調である.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは41Alの変形について反対祢化分子動力学を用いた解析を行い,それを論文にまとめる.その後,反応断面積の解析からAl同位体の基底状態の構造を系統的に決定する.核力に関する研究についても,引き続き,カイラル有効場の理論からの核力に基づく2核子間有効相互作用の構築を河野教授と共同で行う. こうして,反対称化分子動力学,QCDに基づく有効相互作用,畳み込み模型を組み合わせた微視的理論の枠組みを完成させる.三位一体の微視的理論が完成すれば,あらゆる反応系の解析が可能になる.不安定核の基底状態・励起状態の解明,中性子スキン厚の決定などを中心課題として,福田准教授や坂口助教らの実験グループと協力し,精力的に取り組む.
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Research Products
(13 results)