2012 Fiscal Year Annual Research Report
フェオダリアは海洋炭素循環にどれだけの貢献をしているか?
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12J04155
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
池上 隆仁 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フェオダリア / 放散虫 / 炭素循環 / 海洋沈降粒子 / セディメント・トラップ / 北太平洋 |
Research Abstract |
北太平洋の2009年の多層曳きプランクトンネット試料の放散虫群集解析を行った。鉛直分布を得るのに必要な顕微鏡観察による種の同定・カウントを行い、生群集の炭素量見積もりの下準備を行った。また、当初の計画に北極海の海洋沈降粒子試料中の放散虫群集解析を追加し、北太平洋の群集との比較を行った。本研究課題を遂行する上で、北太平洋において採集された海洋沈降粒子試料中の放散虫群集解析が土台となる。放散虫群集解析の結果から、近年の海洋環境変化に対して放散虫群集がどのように応答するのかについても研究を行った。東北大学で開催された微化石サマースクールに参加し、放散虫のデータ解析の他、特定の放散虫種の分類について講義を受けた。ICES Amual Science Conference 2012においては、ある放散虫種と中規模渦(数十キロから数百キロスケールの環状の流れで海流や水温などに大きな影響を与える)の関係を見出し、放散虫種が良いトレーサーになることを示した論文を発表し、多くの研究者達と議論した。また、ノルウェーのオスロ大学地質博物館のKjell R.Bjorklund教授を訪問し、北極海の海洋沈降粒子試料中の放散虫群集の分類に関して、次年度から共同で研究を行う方針を決めた。本研究を進めるにあたって、顕微鏡観察が必須である。来年度以降も主体的に研究を行うため、顕微鏡を一台購入した。アウトリーチ活動としては、九大理学部ニュースの記事をはじめ、九大百年祭、オープンキャンパスなどを通じて、一般向けに研究内容の紹介を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
炭素量を測定する前に必要な放散虫群集解析を、当初の計画よりも詳細に行う必要が生じた。また、世界的なヘリウムガスの不足により、元素分析計を稼働できない状況が続いている。
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Strategy for Future Research Activity |
海洋沈降粒子試料中の放散虫群集解析を進めるとともに、沈降粒子試料中のフェオダリアの拾い出しと炭素量測定を行う。九州大学の元素分析計(Perkin Elmer CHNS2400)は、ヘリウムガス使用量が大きいため、外来研究員となっている海洋研究開発機構地球環境変動領域物質循環研究プログラムの元素分析計(Carlo Erba NC2500)の使用を検討する。
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Research Products
(3 results)