2013 Fiscal Year Annual Research Report
線虫の減数分裂前期において染色体の動的なふるまいを制御する分子機構
Project/Area Number |
12J04184
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 綾 京都大学, 物質―細胞統合システム拠点, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超解像度顕微鏡 / 減数分裂 / 染色体ダイナミクス / 線虫 / 相同組み換え |
Research Abstract |
有性生殖を行うにおいて、減数分裂前期中の相同染色体の対合、シナプス形成(相同間のシナプトネマ構造による連結)、相同組み換えによる交叉形成は、必須のプロセスである。しかし、この、減数分裂前期における一連の染色体ダイナミクスを支える分子メカニズムには、未知の部分が多い。私は、セリン/スレオニンフォスファターゼpph-4の変異株において卵細胞の減数分裂前期の染色体ダイナミクスに異常が見られることを発見した。特に、前年度、pph-4変異体において、線虫の加齢と共に、その表現型がさらに悪化することを見つけた。そのため、今年度は、若い線虫、老いた線虫を用いて卵子の減数分裂前期の表現型を比較した。その結果、pph-4変異体では、相同染色体の対合、シナプシス形成に異常が出ことに加えて、DNA二重鎖切断の数が野生型に対して減ること、また既に減少しているDNA二重鎖切断が、加齢とともに、更に減少することを明らかにした。また、pph-4変異体では、DNA二重鎖切断に必須な因子のリン酸化が増えることから、PPH-4が、この因子の脱リン酸化を通して、DNA二重鎖切断量を調節している可能性が示唆された。また、質量分析解析より、複数のシナプトネマ構造構築に関わる因子のリン酸化がpph-4変異体で増加していることがわかり、PPH-4が複数の基質を脱リン酸化することで、減数分裂前期の対合、シナプシス、DNA二重鎖切断、交叉に至る組換えのプロセスを独立に制御することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変異体の解析は順調に進展した。質量解析解析は、アメリカの企業に解析を外部委託したのだが、その提出サンプルが、DNA組み換え線虫から抽出したタンパク質だったため、郵送の法的許可をとるのに非常に時間がかかってしまい、質量分析の結果を得るのが、予想よりもずっと遅くなってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、生化学実験より見つかったPPH-4の基質の候補となる分子の機能解析を行うとともに、PPH-4との相互作用のタイミングや、リン酸化制御の意味も明らかにしたい。
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Research Products
(1 results)