2013 Fiscal Year Annual Research Report
壊死細胞に対する免疫応答の分子機構および生理的意義の解明
Project/Area Number |
12J04202
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 俊文 東北大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Nogo / PIR-B / TLR9 / 炎症応答 / マクロファージ |
Research Abstract |
TLR9は感染微生物由来の核酸を認識する受容体であり、感染防御に重要である。しかしそのシグナル経路が破綻すると不必要な炎症が発生し、炎症性疾患の原因となるためTLR9シグナルは厳密に調節されている。生体内で発生する自己由来の壊死細胞から放出される核酸もTLR9のリガンドとなり、TLR9経路の制御不全は炎症性疾患や自己免疫疾患の発症と増悪に関与する。しかしながら、その制御機構については未だ不明な点も多く残されている。 当研究室で同定されたPIR-BはTLR9経路を抑制的に制御する。本研究では神経系においてPIR-Bに結合する分子として報告されたNogoに着目し、Nogo欠損マウスを用いて解析を行い、NogoがTLR9シグナル経路の活性化因子であることをこれまでに明らかにした。当該年度では、NogoがTLR9経路を活性化する分子機構の解明を目指して研究を実施した。 NogoとPIR-Bが結合するという報告にもとづき、当初はPIR-Bが有するシグナル抑制機能をNogoが阻害していると想定して検証を行った。しかしながら、先述の報告と異なり、両者の結合は見出せなかった。そこで免疫系では両者は結合せずNogoはPIR-Bとは独立にTLR9シグナルを制御すると考え、Nogo自体の機能解明を試みた。まずNogoを免疫沈降し、Nogoと結合する分子を質量分析を用いて網羅的に解析した。その結果、複数の新規Nogo会合分子を同定した。それらを哺乳類細胞内で共発現して結合を確認した上で、免疫細胞において過剰発現並びにノックダウンを行い、TLR応答に対する影響を検討した。解析の結果、本研究で新たに同定されたNogo結合タンパク質の一つがTLR9経路を抑制的に制御することを見出し、現在はNogoがその分子の抑制的機能を阻害すると想定して研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NogoによるTLR9シグナル活性化のメカニズムとして、当初想定していたNogoとPIR-Bの結合にもとつく説明はできなった。一方でNogoと結合する分子を網羅的に解析したことにより新規Nogo会合分子を同定し、その分子とNogOとの結合に着目することで本来の目標達成に向けて研究はおおむね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、同定した新規Nogo結合分子に着目し、Nogoとの会合を介していかにTLR9シグナルを制御するのか解明を進める。新規分子がシグナルを抑制的に調節するとみられることは過剰発現・ノックダウン実験から示唆されているが、その分子機構の解明が今後の課題である。分子としての具体的機能はこれまでほとんど報告がないため、truncated formなどを作製し細胞で発現させることで、シグナル制御機能の発揮やNogoとの会合に必要なドメインを同定するための事件を行う。その結果得られた情報をもとに、TLR9シグナル制御におけるメカニズムを解明する予定である。
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Research Products
(3 results)