2012 Fiscal Year Annual Research Report
次世代シーケンサーを用いた骨髄異形成症候群の新規標的遺伝子の探索
Project/Area Number |
12J04216
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 健一 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / RNAスプライシング / 遺伝子変異 / 次世代シーケンサー / 全エクソンシーケンス |
Research Abstract |
次世代シーケンサーを用いた骨髄異形成症候群(MDS)の全エクソンシーケンスおよびSNP arrayによるコピー数解析については現在60例について解析が終了している。これまでに、我々の研究室ではMDSでは高頻度にU2AF1, SRSF2, SLF3B1, ZRSR2などのRNAスプライシング経路の遺伝子変異がみられることを報告したが(Ybshida et al. Nature 2011)、60例の全エクソンシーケンスでも同様の結果がえられている。また、それ以外にも新たな複数の症例で共通して変異が観察される遺伝子が見つかっており、多数例での変異検索・機能解析を行っている。60例の全エクソンシーケンスの結果から、上記のRNAスプライシング因子やTET2,遺伝子の変異はほとんどの病型のMDSに変異がみられることからMDS発症の初期に起こっていると考えられた。一方、N/KRAS、CBLなどの遺伝子変異はより進行した病型のMDSにみられていたことからMDSの進行に関わっていることが示され、最近これらの遺伝子変異を持つMDS症例は予後不良であることが報告されていることから予後予測に有用である可能性が示唆された。また、MDSにおける標的遺伝子に標的を絞って行ったMultiplexed Barcoded SequencingではやはりRNAスプライシング因子の遺伝子変異が高頻度かつ変異を持つ症例で排他的に変異がみられていて、MDS発症における重要な遺伝子変異であることが示された。また、SF3B1遺伝子はRARSやRCMD-RSといった環状鉄芽球が増加している病型のMDSの約75%と高頻度に変異が見られており、SF3B1遺伝子変異が診断に有用であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
次世代シーケンサーを用いた全エクソンシーケンス、Multiplexed Barcoded Sequencingについてはほぼ当初の計画通りに進行している。また、その成果という点では多くの新規標的遺伝子が同定されてきており、期待された以上の成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
全エクソンシーケンスで見つかった新規標的遺伝子について、今後は多数例での変異解析、機能解析を行う予定である。また、これまでの成果で骨髄異形成症候群において高頻度にRNAスプライシング因子の変異がみつかっていることから、RNAシーケンスによりMDSにおいてRNAスプライシングの異常がみられているのか検討する。 また、全ゲノムシーケンスにより全エクソンシーケンスでは見つけられないnon-coding領域の解析も行う予定である。
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Research Products
(17 results)