2013 Fiscal Year Annual Research Report
精密ナノサイズのチューブ蛋白質構築と生体分子認識ツールへの展開
Project/Area Number |
12J04240
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲葉 央 京都大学, 物質―細胞統合システム拠点, 特別研究員(DC2)
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Keywords | バクテリオファージT4 / 人工蛋白質 / 細胞膜貫通 / シグナル伝達 / 一酸化炭素 / βヘリックス |
Research Abstract |
(1)針蛋白質の細胞内取り込みの観察及機構解明 当研究室で開発したT4ファージ由来の針蛋白質β-PNがエンドサイトーシス機構を持たない赤血球へ直接的に貫通することを共焦点顕微鏡観察で明らかとした。表面電荷を変換して取り込み評価を行った結果、β-PNが本来有する負の表面電荷(ゼータ電位 : -16mV)が最も効率良く細胞膜貫通を誘起にすることを明らかとした。正電荷を持つ針蛋白質はHeLa細胞の膜上に集積し、エンドサイトーシスが誘起されることを明らかとした。従って、β-PNは細胞膜との静電反発により膜上に直立して針としての貫通反応が起きると推定される。この膜貫通反応には針蛋白質を構成するβヘリックスのサイズ、剛直性、表面電荷、水素結合ネットワーク形成が重要であることを明らかとした。 (2)CO放出性錯体の導入によるCOの効率的な細胞内輸送 β-PN表面に金属カルボニルを導入することで効率的な細胞内輸送を達成し、シグナル分子としてのCOの機能を明らかにした。COを細胞内に輸送するためにCO放出性金属錯体(CORM)が合成されているが、①細胞への取り込み効率が極めて低い、②CO放出が速い、③金属由来の高い細胞毒性を示す、といった理由から細胞内へのCO輸送は未だ困難であった。本研究では、β-PN表面にRuカルボニルを導入することで、効率的なCO輸送を達成し、COが時間依存的に転写因子活性及び遺伝子発現を制御していることを初めて明らかとした。CORM複合体はCORMに比べ60倍高効率で細胞内に取り込まれ、CO放出は9倍の遅延効果が見られた。細胞内のCO放出によって、転写因子NF-κBの活性を時間依存的に不活性化、活性化することを明らかとした。これは①効率的な細胞透過反応、②配位性アミノ酸の分子設計、が可能なβ-PNを用いることで初めて達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(7 results)