2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J04319
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中山 健吾 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機半導体 / 電荷移動 / トップコンタクト電極 / 短チャネル長 / 遮断周波数 / 接触抵抗 |
Research Abstract |
本研究は、異種材料間での電荷移動に着目したデバイス応用に主眼を置き、キャリア移動度や高速応答性能等の優れた高性能有機半導体素子を開発することを目的としている。昨年度は、有機半導体材料と金属エッチング剤との間に電荷移動を生ずるためのエネルギー関係に着目した研究を行い、金のウェットエッチによって数ミクロンサイズの微細なトップコンタクト型電極を作製できる技術を開発した。トップコンタクト電極は、電荷注入領域1半導体活性層間の接触抵抗が小さいという利点を有する一方で、微細化が困難であったが、この技術はこの問題を解決するものである。実験では、ヨウ素系エッチング剤Aurum S50790(関東化学製)とフォトレジストを組み合わせ、金電極の微細パターンを有機半導体薄膜2,9-Didecyldinaphtho[2,3-b:2',3'-f]thieno[3,2-b]thiophen(C10-DNTT)上に形成した。この電極作製技術を用いて作製したデバイスは、5cm^2/Vsに達する高いキャリア移動度と106以上の高いオン・オフ比、約200Ωcm程度の非常に低い接触抵抗値を示し、このエッチング剤の還元電位に対して有機半導体の酸化電位が十分に高ければ、両者の間で電荷移動が起こらず、デバイス特性に深刻な影響を与えないことが判明した。また、チャネル長2μmの微細素子の高速応答性能を評価した結果、遮断周波数が約19MHzに達する優れた特性を示した。上記のように、この技術は、優れた周波数応答性能を示す有機電界効果トランジスタの作製を可能にするのであり、高速演算性能を有する有機エレクトロニクスの素子の開発につながっていくものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までにチャネル長L=2μm、ゲート電極とソース・ドレイン電極間のオーバーラップムL=4μmの素子を作製し、高い遮断周波数を確認している。デバイスをさらに微細化し、応答性能を向上させる技術的な目途が立っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、有機電界効果トランジスタの短チャネル化を進めていくことになるが、金属電極1有機半導体間の接触抵抗の影響が顕在化する恐れがある。この影響を緩和するため、電子供与性の有機半導体と電子求引性有機半導体を利用し、電荷移動の効果によって有機半導体界面に高移動度のキャリア伝導層を形成することで電荷注入効率を向上する実験を計画している。
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Research Products
(4 results)