2013 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類減数分裂をささえる細胞骨格ダイナミクス制御機構
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12J04389
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邉 定則 名古屋大学, 大学院理学研究科生命理学専攻, 特別研究員(PD)
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Keywords | 細胞分裂 / 微小管 / アクチン / 発生 |
Research Abstract |
非対称分裂を中心とし、生体内細胞分裂でのアクチン重合の役割解明を目的として、アクチン重合分子mDia2を欠損するマウスを用い解析した。昨年度までの研究で、欠損マウスは赤芽球の多核化を伴う貧血を呈し胎生致死となることを見出していた。今年度は、赤血球分化障害の機構を焦点に解析を行った。その結果、①mDia2欠損細胞では、赤血球分化進行に伴いより高い細胞質分裂の失敗が観察されること、②分化段階後期である好塩基性及び多染性赤芽球段階にあるmDia2欠損細胞群では、細胞質分裂時の分裂溝へのアクチン集積が阻害されること、③一方で、アクチンの重合阻害やmDia2の上流分子である低分子量GTP結合タンパク質Rhoの特異的阻害では、早い分化段階から高頻度に多核化がおこること、④赤芽球は最終的に核を排出(脱核)することで成熟赤血球となるが、予想に反し、mDia2欠損赤芽球は多核化するにもかかわらず、核排出が起こること、⑤この核排出は低分子量GTP結合蛋白質Racやアクチン重合の阻害処理により抑制されることが分かった。以上により、赤血球分化時の細胞質分裂と脱核が、それぞれRho-mDia2及びRacを中心とする異なるアクチン重合機構により制御されることが明らかとなった(Watanabe S. et al., Cell Rep., 2013)。 中心体非依存的スピンドル形成及び微小管ダイナミクスの重要因子のひとつとして、オーグミン複合体に着目し解析を行っている。今年度の研究により、オーグミンが中心体非依存的に微小管を増幅させる際に重要となるサブユニットを欠損するマウスの作出が完了したので、その表現型の解析を進めている。また、微小管増幅の機構についても、オーグミンサブユニットと他の微小管増幅因子との相互作用に焦点を当て、その機能メカニズムの検証を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の重要ターゲットとなる分子についてマウス作出が完了し、既に解析を進めている段階となっている。また、哺乳類生体内細胞分裂でのアクチン重合の重要性を初めて明らかにし、論文として発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究テーマの中心となるメカニズム解析については、受け入れ及び関連する研究室の得意とするシステムの導入を行うことで適宜対応しているが、研究の進展に伴い、高い専門性及び技術を要する点については、専門家との共同研究を実施する予定であり、スムーズに研究が進展・発展させることができるよう心掛けている。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Loss of a Rho-regulated actin nucleator, mDia2, impairs cytokinesis during mouse fetal erythropoiesis.2013
Author(s)
Watanabe S, De Zan T, Ishizalki T, Yasuda S, Kamijo H, Yamada D, Aoki T, Kiyonari H, Kaneko H, Shimizu R, Yamamoto M, Goshima G, and, Narummiya S
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 5(4)
Pages: 926-932
DOI
Peer Reviewed
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