2012 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジアの経済発展における域内交易の役割-19世紀の仲介商人網と地域物産取引-
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12J04402
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 篤史 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 東南アジア域内交易 / 19世紀の世界貿易 / シンガポール |
Research Abstract |
本研究の目的は、19世紀における東南アジア地域経済発展に果たした域内交易の役割を、貿易統計と記述史料を用いて明らかにすることである。19世紀後半以降、東南アジアは第一次産品輸出経済の発展により世界貿易とアジア間貿易に統合されていったが、それと共に第一次産品生産者の生活必需品の需給による東南アジア域内交易も成長を遂げた。それは、シンガポールといった中継港を経由して大陸部東南アジアの米や塩が島嶼部の大衆に供給され、交換に第一次産品生産・輸出が促進されたのであり、そこでは仲介商人が重要な役割を果たしたと推察される。しかしながら、未だ東南アジア域内交易の重要性と仲介商人活動の実態は貿易統計、史料に基づいて実証されていない。そこで、19世紀における東南アジア貿易に占める域内交易の比重と、その担い手としてシンガポールの仲介商人の活動実態を貿易統計と史料に基づき考察する。本年度は19世紀における東南アジア6地域(英領ビルマ、英領マラヤ、蘭領東インド、仏領インドシナ、シャム、フィリピン)の貿易統計を収集し、その地域別貿易額から東南アジア域内交易の規模と趨勢を捕捉した。そしてシンガポール政庁が発行した植民地史料(貿易統計含む)や、ストレイツ・タイムスといった民間商業誌などから、シンガポール貿易の動向、商品市場価格の変動、商人活動の実態に関する情報を抽出し、仲介商人ネットワークの変化を捉えた。これら研究成果は、論文「19世紀前半における東南アジア域内交易の成長―シンガポール・仲介商人の役割―」として、学会誌『社会経済史学』(2012年11月発行)に掲載された。 さらには、2012年7月には南アフリカにおける第16回国際経済史学会のセッションThe Intra-Asian Trade during the "Long 19th Century" : Formation and Dynamics of Regional Commodity Chainsにおいて、研究報告として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画の通り、投稿論文による研究成果公表と、国際会議における研究報告を行った。また、海外史料調査も予定通り遂行した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、収集した資料の整理・分析と、それらデータを用いた研究報告と論文執筆を進める。
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Research Products
(2 results)