2012 Fiscal Year Annual Research Report
ニューヨーク・ハイラインにおける歴史的高架橋を活用した都市再生に関する研究
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12J04443
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 優介 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2012 – 2013-03-31
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Keywords | ハイライン / 鉄道跡地 / FHL / レールバンク / 合意形成 / 都市再生 / 都市デザイン / ニューヨーク |
Research Abstract |
本研究では、ニューヨーク・ハイラインにおけるオープンスペースとしての再利用実現過程の考察を通して、歴史的高架橋を活用した都市再生手法の構築を目指す。そのために、オープンスペースとしての空間の質を向上させるシステム、維持管理までを含む合意形成の成立、線状拠点としての高架橋かち都市への展開に着目し、それらの仕組みの利点と成功要因を明らかにすることを目的とする。 本年度は、1.レールバンク制度による高架橋再利用の実現プロセス、2.高架上の空間計画の構築と都市計画特別地区策定との関連について考察した。1に関しては、米国の連邦制度であるレールバンクの枠組みを示した上で、ハイラインの再利用における所有権獲得の過程およびレールバンクの役割について、実際の手続きにおける運用、全体計画に対するトレイルの有効性という観点から明らかにした。具体的には以下の成果が得られた。(1)反対派の土地所有者によって路線廃止申請が行われる中、事前にレールバンクの利点を認識したニューヨーク市がトレイル申請を行うことで論点を転換し、反対派と密に合意形成を図る場を確保できた。(2)再利用の枠組みをトレイル法に求めたことで、ハイラインは交通路としても位置付けられ、連邦補助金を獲得する優位性を確保できた.さらに鉄道復帰に関する費用負担と引き換えに、空間デザインの制約を緩和できる契約を通じて、大規模な施設の改変を保証できた。以上の内容を土木学会論文集に投稿した。 2に関しては、以下の点を明らかにした。(1)都市計画の特別地区制度に基づき、ハイラインの近接領域に高度制限を設けて高架上空間の眺望を保全すると同時に、高架下の土地所有者の容積率移転を許可することで、空間の魅力向上を目指しつつも、土地所有者の開発権を保障する仕組みが構築されている。(2)高架上と地上をつなぐ整備に関して、再利用の空間計画が都市計画上も位置づけられている。
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