2012 Fiscal Year Annual Research Report
自然災害に強い電力システム設計と最適運転計画モデルの開発
Project/Area Number |
12J04463
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山下 大樹 早稲田大学, 環境エネルギー研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 電力システム / 電気自動車(EV) / スマートコミュニティ / 発電機運用計画 / 風力発電 |
Research Abstract |
電気自動車(EV)大量導入時の電力需要パターンモデル、自然エネルギー電源(風力発電)大量導入時に適用できる発電機運用計画最適化手法及び経済性・環境性の2断面からトレードオフ分析を行う手法の開発を行い、分散型電源の大量導入がもたらす影響について発電機運用の面からコスト並びにCO2排出量の増減量を通して検討を行った。具体的には以下の2点に着目した。 (1)東北地方で実際に運用されているウィンドファームの運用実績データから風力発電の出力分析を行うと共に、発電機の運用スケジュール決定手法を風力発電大量導入時に問題となるであろう周波数制御制約を加えることで拡張し、実際に風力発電導入による発電機運用コストやCO2排出量に対する影響の規模を算定した。 その結果、風力発電が導入されることでコスト及びCO2排出量は大きく削減され得るが、大量導入された際には追加で必要となる発電機予備力や瞬動予備力などの影響によってコスト及びCO2排出量が全体の10%程度発生することが判明した。 (2)EV大量導入時の発電機運用計画から見た影響評価ということで、実際のEVの運用動向の調査を元にした確率的なEVの運用パターンモデルを開発した。そして、発電機の運用スケジュール決定手法及びモデルに適用し、発電機運用面から見たEV大量導入時のコスト及びCO2排出量に対する影響の規模を算定した。 結果として、EVが大量導入された場合、夜間充電のための電力需要の増大から発電機コスト及びCO2排出量はEV数に対して線形的に増加していくが、ある導入レベルを超えると発電機の起動や停止が起きるようになり、そのトレンドが大きく変化するということがわかった。この傾向はコスト及びCO2排出量のトレードオフ曲面の変化からも観察することができた。また、どの程度のEV導入レベルでこういった傾向が現れてくるかは電力システムにおける既存の電力需要やEVの充電パターンによって大きく異なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発電機運用計画を策定する手法の研究を行いツールの開発は概ね完了した。計画では1年度目において電力システム設計にまで着手する予定であったが、そのための基礎的な研究を行い着手自体はしているものの、現実的なシステムを取り扱うまでに至らなかったため、「おおむね順調」と自己評価しだ。
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Strategy for Future Research Activity |
太陽光発電・風力発電など分散型電源を大量導入し、スマートグリッドやデマンドレスポンスなどの新技術を導入した災害に強い電力システムについての検討を行う。また、1年度目に開発したツールを用いて、開発したシステムにおいて需給計画の最適化プロセスの開発を行う。なお、本研究で制御可能な変数として取り扱うのは、各種発電機の出力・起動停止計画(及びデマンドレスポンスを考慮した場合は需要についても)とする。また電力システムにおける電気自動車の社会的効用などについても本年度は検討する予定である。
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