2012 Fiscal Year Annual Research Report
アリに排除されない捕食者がアリ-アブラムシ共生系および節足動物群集に与える影響
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12J04473
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
林 正幸 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 共生 / 化学擬態 / 炭化水素 / 行動 / 他者認識 / クサカゲロウ / アブラムシ / アリ |
Research Abstract |
アリとアブラムシの相互作用は共生のモデルケースであり、アリはアブラムシから甘露を受け取る代わりにアブラムシの捕食者および寄生者を排除することが知られる。しかし、アブラムシ捕食者であるカオマダラクサカゲロウ(クサカゲロウ)はアブラムシの死体を背面に載せることでアリからの攻撃を回避する。これは、背面のアブラムシ死体がアリの攻撃性を減少させるためと考えられたが、その至近メカニズムについては不明であった。そこで本年度は、クサカゲロウが載せるアブラムシ死体の化学成分、特に炭化水素に着目し、アリへの効果を検証した。 まず、ガスクロマトグラフ質量分析装置を用いて、アブラムシ、クサカゲロウ、クサカゲロウ背面のアブラムシ死体の炭化水素成分を比較した。その結果、アブラムシと、クサカゲロウ背面のアブラムシ死体の保持する炭化水素組成が類似することが明らかとなった。 次に、ヘキサン溶媒に浸漬することで化学成分を洗浄したアブラムシ死体を載せたクサカゲロウに対するアリの攻撃性を計測した。その結果、クサカゲロウに対するアリの攻撃性は、非洗浄アブラムシ死体を載せたクサカゲロウよりも有意に増加した。また、アブラムシ、アブラムシ死体、クサカゲロウの炭化水素成分を抽出・精製し、綿に塗布し、この綿を載せたクサカゲロウに対するアリの攻撃性を比較した。その結果、アブラムシおよびアブラムシ死体処理綿を載せたクサカゲロウに対するアリの攻撃性は、クサカゲロウ処理綿および無処理綿に比べ有意に低下した。 これらの結果から、クサカゲロウの載せるアブラムシ死体の炭化水素成分がアリの攻撃性を抑制し、アリに対する化学擬態のような効果をもつことが示唆された。これら研究成果は国際誌に投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の仮説を支持する結果が得られている。現在は国際誌に投稿する段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は昨年度得られた成果を論文として公表すると同時に、計画書に記載したとおり、クサカゲロウのアリ-アブラムシ共生系および節足動物群集におよぼす影響について検証していく。
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Research Products
(2 results)