2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J04505
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
當山 奈那 琉球大学, 法文学部, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 琉球語 / 首里方言 / 受動 / 使役 / 授受 / 利益性 / ヴォイス / 記述文法 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの調査の結果を基に、使役と授受の関係をふまえ、受動文の意味構造の分析と考察を行った。第三者受動文という意味構造の欠如とシテモラウ相当形式の欠如から、利益性について首里方言の受動文が中立的であることを示した。ヴォイスにおける不利益性は使役の一部の意味構造が担っており、首里方言の受動文は不利益性を意味構造上現さないことをまとめ、前年度までに雑誌に投稿した。この成果をふまえ、使役と授受表現の相関に焦点を当てて分析記述を発展させて研究発表会で報告をした。また、動詞の語彙体系のなかで授受動詞の意味記述を行い、整理して紀要に投稿した。 首里方言のヴォイスと利益性の特徴について、 (1)首里方言が言語類型論的に他動化優勢の言語であり、その背景には使役動詞の発達があること(2)他動詞派生接尾辞と使役動詞派生接尾辞が起源的に同一のものである可能性があること(3)使役動詞の3つの形式が〈強制・指令〉〈許可・放任〉の構文的意味の表現に関与していること(4)第三使役動詞が間接使役という言語類型論的にみて類例の少ない構文の述語形式であること(5)使役と受動がヴォイスのカテゴリーに属しながらも利益性にまでふみこんでくる現代日本語とは異なり、首里方言の使役と受動は利益性に関して中立的であり、ヴォイスのみを問題とすること(6)授受構文が動詞の文法的な意味としても形式としても発達の過程にあること(7)首里方言においては、使役も受動も利益性を獲得しなかったため、第三者主語の受動文が生じなかったということ(8)現代日本語と比較した上で、授受構文が発達しなかったのは授受に人称制限が起こらず、シテモラウ相当形式の欠如が原因であること (9)首里方言が授受表現発達の初期段階にあること、以上のことについてを博士論文としてまとめ、期日までに提出した。
|
Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(6 results)