2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J04527
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
片渕 奈美香 東京学芸大学, 連合学校教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 天然染料 / 初期合成染料 / 染料部属 / 染色堅牢性 / 染織品 / 保存 / 古裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、明治時代の着物地を対象として、色調(とくに赤と紫)の保持を目的に、染料を中心とする材質分析と保存に関わる染色堅牢性の評価を行った。最終年度である本年度は、昨年度実施した露光試験により得られたデータの解析を主に行った。露光試験の試料には、1年目に収集し、異なる色ごとに染料部属を鑑別した古裂と、2年目に染料同定のための既知染料として選定した主な赤・紫系合成染料により作成した染色絹布を用いた。これらの試料布に生じた変退色を、画像解析によって得た色彩情報(L*a*b*値)を用いて評価した結果、次のような知見を得た。 1.古裂の変退色:①未露光布の値を基準に算出した色差(ΔE*ab)を用いて、色ごとに露光による変退色を評価した結果、紫色部分(塩基性染料)は、赤色部分(酸性染料)に比べて色差が顕著に大きい結果を得た。塩基性染料は絹に染めた際の耐光堅牢性に乏しいとされることが実物資料においても確認された。また、同じ紫系塩基性染料が用いられている古裂でも、染色技法の異なる紫地古裂と多色古裂では、変退色の程度に違いが見られた。②試料布全体の画素ごとのL*a*b*値の分布を表したヒストグラムを用いて、変退色を評価した結果、a*値およびb*値のヒストグラムでは、赤色を示す部分がほとんど変化しないのに対し、紫色を示す部分の画素ごとの値の分布が大きく移動した。このことから、露光によって色相や彩度が変化していることがわかった。 2.合成染料による染色絹布の変退色:露光前後の染色絹布を比較したところ、本研究で用いた赤系酸性染料では色が褪せ、赤・紫系塩基性染料では暗色化する様子が目視で観察された。さらに、塩基性染料のものについて、染料濃度を変えて新しく作成した染色絹布を対象に追加試験を行った結果、露光によって、一度暗色化してから色が褪せていく染料があることを確認した。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)