2012 Fiscal Year Annual Research Report
現代イランにおける女性の社会参加-親密圏に着目して
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12J04534
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内山 明子 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イラン / 女性 / 宗教実践 / 日常生活 |
Research Abstract |
具体的内容:2012年6月2日に上智大学で行われたスーフィズム・聖者信仰研究会において、博士予備論文(修士論文に相当)の内容について発表した。また、同発表の内容を拡張させ、2012年7月21日には東京大学でのイスラーム地域研究・若手研究者の会でも発表を行った。さらに、2012年7月8日には、京都大学でのKIAS/SIAS Joint International Workshopに参加し、イランに限らず様々な地域における女性の日常実践を扱う研究についてのサーベイを行い、長期調査に向けての課題の洗い出しをした。2012年8月26日~2013年2月21日にかけては、女性の日常生活における宗教実践についての聞き取りを中心に、イラン(テヘラン)で臨地調査を行った。帰国後は、データの整理と考察を行い、2013年度の臨地調査のための準備を取りかかっている。 意義と重要性:6月から7月にかけて3回行った口頭発表は、博士予備論文の内容を発表するだけでなく、論文執筆中および執筆後に出てきた課題を整理し、博士論文の問いをより明確にするために不可欠であった。ここでの発表と議論を経て、8月から6ヶ月間遂行した臨地調査では、以下二点の結論を得た。一点目は、エマームザーデと呼ばれる墓廟への参詣を始めとして、宗教実践一般に対して若者の間で「時代遅れである」「誰が埋葬されているのか定かではなく、うさんくさい」といった不信感が見られることである。二点目は、そのような風潮があるにもかかわらず、実際にエマームザーデに足を運んでみると、宗教実践に関心がないように見える若者たちがしばしば参詣に来ていることである。そこで、具体的にはどのような女性たちがエマームザーデに来ているのかという点を手がかりとして、これらの結論の間に見られる矛盾を解明する必要性が新たに生じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画にほぼ沿った形で、発表・調査ともに研究が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、5月~8月の3ヶ月間イラン(テヘラン)で再び臨地調査を行う。この調査により、上記10に上げた課題を解決するとともに博士論文の中核部分に用いるデータを収集することが可能となる。帰国後はデータの整理を行い、2013年内に論文を執筆・投稿する予定である。さらに2014年2月には、京都大学と上智大学が合同で行う KIAS/SIAS International Workshopにおいて、臨地調査の内容および考察の結果を口頭で発表する。
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Research Products
(3 results)