2013 Fiscal Year Annual Research Report
現代イランにおける女性の社会参加-親密圏に着目して
Project/Area Number |
12J04534
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内山 明子 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | イラン / 女性 / 宗教実践 / 参詣 |
Research Abstract |
具体的内容 : 2013年5月~6月および2013年10月~11月の2回、宗教実践に従事する女性およびテヘランの市民への聞き取りと資料収集を中心に、イラン(テヘラン)で臨地調査を行なった。聞き取り調査では、テヘランの市民がエマームザーデと呼ばれる墓廟に対してどのようなイメージを抱いているのか、参詣する女性自身はどう考えているのかを質問の主な内容とした。これは、前年度の調査で感じた疑問点をもとにしたものである。 帰国後はデータの整理と分析に専念し、その結果を2014年3月29日に上智大学で行なわれたKIAS/SIAS Joint International Workshopで発表した。この発表では、参詣する女性およびテヘラン市民の男女がエマームザーデに対してどのようなイメージを抱いているのか、そこから導きだされるエマームザーデのイラン社会における位置付けとは何かを描いた。 意義と重要性 : 上記の発表では、エマームザーデ参詣をより包括的に捉えるうえで重要な「アーラーメシュ」(安らぎ、休養を意味するペルシャ語)という概念への着想を得た。この「アーラーメシュ」は、イスラーム世界の参詣を扱うこれまでの研究が用いてきた「公式の宗教・民衆の宗教」あるいは「大伝統・小伝統」といった二分法的な図式を超克するうえで非常に有用な概念であると言える。この概念を、親密圏と公共圏の議論に組み込むことで、イランにおける宗教実践や信仰のあり方をより多角的に捉え直すことが可能だと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画の内容全てを達成することはできていないガ、博士論文執筆のための準備は順調に進んでいるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
平威26年度は、5月にイラン(テヘラン)で再び臨地調査を行なう。前回の臨地調査で、研究に必要なインフォーマント(エマームザーデの管理者)と知り合ったが、時間の都合上ほとんど聞き取りができなかった。そのため、彼女への面巻取り調査を中心に、文献収集なども合わせて行なう。 この調査の結果も合わせ、前年度から既に取り組んでいる博士論文の執筆を進めていく予定である。
|
Research Products
(1 results)