2013 Fiscal Year Annual Research Report
ERp44によるジスルフィド結合形成酵素Ero1αの小胞体局在機構の解明
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12J04589
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
増井 翔史 九州大学, 生体防御医学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ジスルフィド結合 / Erolα / PDIs / 小胞体品質管理 |
Research Abstract |
高等生物細胞の小胞体において、ジスルフィド結合の形成を介した酸化的フォールディングを行うタンパク質Erolαは、小胞体におけるタンパク質ジスルフィド結合導入において中心的役割を担う酸化酵素である。しかしながら興味深いことに、Erolαは小胞体内在のためのリテンションシグナルをもたない。Erolαは、ゴルジ体においてPDエファミリータンパク質の一つであり小胞体リテンションシグナルをもつERp44と結合することで、COPI被覆ベシクルによって小胞体へと逆行輸送されることが過去の研究から明らかにされている。 本研究は小胞体-ゴルジ体間に存在するpH勾配に着目し、ERp44のpH依存的な構造変化機構やその構造変化に基づく機能制御機構の解明を目的として行っている。二年目である今年度は細胞内でのタンパク質品質管理機構についてERp44による未成熟タンパク質の小胞体へのリテンション機構という観点から研究を展開した。 ERp44が基質を小胞体にリテンションする為には、基質との複合体を作ることが必要である。そこで、どのような複合体を形成するのかX線結晶構造とX線小角散乱法を用いて解析を試みた。結果、X線小角散乱法における複合体の解析の為の条件検討を終え、複合体の結晶も得られるようになった。さらに、ERp44のヒスチジンを多く含むループ領域がpH依存的なtailの開閉制御に補助的に関わることを明らかにした。in vivoでの実験結果から、このヒスチジンを多く含むループ領域が欠失するとpH依存的なERp44の構造変化が十分に起こらず、ERp44自身が小胞体へリテンションされなくなることが示された。これらの成果はERp44が小胞体品質管理のために行うpH依存的な構造変化を明らかにするために欠かすことのできないものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は精力的にX線結晶構造解析やX線小角散乱によるERp44-基質複合体のデータ収集・解析に取り組んだ。位相決定はできなかったが、ERp44-基質複合体の結晶の作製などERp44のpH依存的な構造変化機構の更なる解析は達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
ERp44-基質複合体の結晶を得ることには成功したが、その分解能は構造解析を行うには不十分であった。今後はより良い分解能が得られる結晶化条件の探索と、セレノメチオニンを導入した基質を用いて電子密度図の解釈をより正確に行う。
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Research Products
(4 results)