2012 Fiscal Year Annual Research Report
光応答性有機結晶の結晶成長制御による新規機能性材料の創生
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12J04639
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
北川 大地 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フォトクロミズム / ジアリールエテン / 結晶成長 / 表面濡れ性 / 超撥水性 / ペタル効果 / パターニング |
Research Abstract |
光応答性結晶の結晶成長を制御し、新たな機能性材料の創生を目指している。フォトクロミック化合物は、光照射により可逆的に異性化し、色だけでなく分子構造、屈折率、誘電率、酸化還元電位などの様々な化学的および物理的性質も可逆的に変化する。フォトクロミック化合物の中でもジアリールエテンは、高い熱安定性と繰り返し耐久性を有し、溶液中だけでなくアモルファス状態や結晶中でも光異性化が進行する。これまでに、ジアリールエテン結晶のアモルファス状態からの結晶化による表面粗さの増大に伴って水に対する接触角が82°から117°へと約35°変化することを見出し、また紫外光照射によるフォトクロミック反応を用いることで結晶化を制御できることを報告している(D.Kitagawa et al.,Chem.Commun.2010,46,3723)。本年度は、ジアリールエテン結晶の結晶成長に注目し、水に対する接触角が150°を超える超撥水性表面の発現および紫外光照射による結晶成長の光パターニングについて研究を行った。ジアリールエテンのアモルファスフィルムは、ジアリールエテン/ポリメタクリル酸メチル(PMMA)のトルエン溶液をスライドガラスにキャストすることで得られた。このアモルファスフィルムを130℃で1時間加熱した後、180℃で1時間加熱すると、オストワルド成長により結晶が大きく成長することが明らかとなった。これは、ジアリールエテン結晶の融点が約180℃付近であり、微小結晶が容易に融解し、大きな結晶に取り込まれやすくなったためだと考えられる。また、そのときの水に対する接触角を測定すると154°の超撥水性を示すが、逆さにしても水滴が落下しないペタル効果を示した。また、フォトマスクを用いて結晶成長のパターニングを試みたところ、約10μmの解像度でのパターニングに成功した(D.Kitagawa et al.,Chem.Sci.,2012,3,1445)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度において研究計画にあげたジアリールエテンの結晶成長制御をもちいた超擾水性表面の作製に成功している。また、フォトクロミック反応を用いることにより結晶成長のパターニングにも成功している。研究成果を学術論文として発表し、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ジアリールエテン結晶の結晶多形および結晶-結晶相転移という計画当初には予期していなかった新たな発見にめぐりあい、研究を行っている。示差走査熱量分析(DSC)、粉末X線解析、単結晶X線構造解析を用いて、ジアリールエテン結晶の相転移における熱の出入り、相転移前後における結晶形の変化、結晶内における分子の動きを詳細に検討する。また、相転移前後におけるジアリールエテン自身のフォトクロミズム挙動について評価する。
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Research Products
(6 results)