2012 Fiscal Year Annual Research Report
国立国会図書館蔵特500資料群を中心とした戦前・戦中期検閲原本資料に関する研究
Project/Area Number |
12J04677
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
牧 義之 中京大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 日本近代文学 / 出版メディア / 検閲 / 言論統制 |
Research Abstract |
平成24年度は、本研究課題で最も重要な国立国会図書館蔵・検閲関係資料<特500><特501>両資料群のリストアップとその内容調査作業を主として進めた。前者の<特500>資料群に関しては、そのリスト化と調査を昨年度以前からすでに進めていたので、まず〈特500>資料群全点の調査を終わらせ、その後に未着手であったく特501>資料群のリストアップと内容調査に取り掛かった。 <特500>資料群の調査に関しては、早稲田大学20世紀メディア研究所第66回研究会において、途中経過報告として発表を行なった。20世紀メディア研究所は、主として戦後・占領期の検閲に関して調査を行なっている組織であるが、研究領域を異にする方々と意見交換を行うことができ、有意義な発表となった。この時の発表内容は、その後論文化して『インテリジェンス』第13号(2013年3月発行)に掲載された。調査が終了した<特500>資料群は、調査結果の分析を今後行う。 平成24年度より調査に着手した<特501>資料群に関しては、スタンプや書き込みなど、<特500>資料群とは採取するデータに相違があるため、リスト化を行いながら資料群の性格をつかみ、その調査におけるメモを記号によって簡略に記入する方式を採った。現在(2013年4月)のところ、944件のうち150件強まで調査を終えた。国立国会図書館では両資料群のデジタル化が完了し、端末で画像を閲覧することが可能であるが、著作権の問題により館内でのみ公開されている資料が全体の半数以上を占めているため、館外から閲覧可能な資料はリスト化の際に分かるようにした上で、国会図書館内でのデジタル画像や原本の閲覧が必要な資料を優先的に調査するようにしている。25年度においては、リスト化と調査の3分の2程度までを終えられるようにしたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国立国会図書館蔵<特500>資料群に関しては、20世紀メディア研究所での発表及び雑誌『インテリジェンス』の論文掲載によって、資料の特性や内容を他領域の研究者へ向けて発信することが出来た。<特501>資料群に関しては未着手であったため、リスト化と調査を同時に行い、全体の20%程まで調査を終えた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も国会図書館蔵<特501>資料群のリスト化と調査を進め、先行して調査を行なった<特500>資料群の関連性を明らかにする。また、国立国会図書館憲政資料室にマイクロフィルムが所蔵されているアメリカ議会図書館所蔵の検閲資料(占領期の被接収資料)にも目を向け、戦前・戦中期における検閲制度の実態解明に努めたい。現在、3種類刊行されているマイクロフィルム・チェックリストの点検をし、必要な資料や文書の抽出を行なっている。今後、先行研究が触れてこなかった未発見資料の発掘にも力を入れたいと考えている。
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