Research Abstract |
本年度は, 昨年度『発達心理学研究』に査読審査の上, 受理された"ロールブレイ体験がマインドリーディングの活性化に及ぼす効果の発達的研究"が9月に掲載された。この研究の内容は, 児童期と成人期の参加者を対象に特殊的な状況における複雑なマインドリーディング状況をDirector Task (Dum。ntheil, Apperly, & Blakemore, 2010 : 古見-子安, 2012)を用いて作成し, その場面でのマインドリーディング能力が, 従来の他者の心の理解の課題と関連があることを示した。さらに, その能力は他者の役割を演じるロールプレイにより向上し, そのロールプレイの効果も他者の心の理解の能力によって変化することを明らかにした。また, 昨年度に行った研究"Role-play experience facilitatesreading the mind of individuals with different perception"を『PLoS ONE』に投稿し, 査読審査の上, 受理され, 9月に公開された。この研究の内容は, 成人期を対象に, 特殊的な他者の心を理解するという複雑なマインドリーディング状況をDirector Taskを改良することで作り出し, そのマインドリーディングもロールプレイによって能力が向上することを示したものである。また, これまでの関連研究をまとめ, "ディレクター課題を用いたマインドリーディングの発達研究の展望"として, 『京都大学大学院教育学研究科紀要』に投稿し, 査読審査の上, 受理された。本年度行った研究としては, 幼児がロールプレイを行うことができるかどうか, および他者の知識状態によって行動を変容させるかどうかを実験的に検討する研究を行い, 学術誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は3本の学術論文が公開された。当初は特殊的な状況におけるマインドリーディングとそれに対するロールプレイの効果のみを研究計画としていたが, それをさらに発展させ, 特殊的な他者の心を読むマインドリーディングとそれに対するロールプレイの効果を成人と児童を対象に検証し, 論文の公開まで達成することができた。そのため, 本研究は当初の計画以上に進展しているといえる。
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