2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J04725
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
加藤 圭木 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 歴史学 / 植民地 / 朝鮮 / 港湾都市 / 地域社会 / 咸鏡道 |
Research Abstract |
平成24年度は、研究課題である「植民地期朝鮮における港湾都市開発と地域社会」を進展させるために、まず大韓民国での調査を3回にわたっておこない、史料の収集やフィールドワーク、そして韓国の研究者との情報交換をおこなった。具体的には以下の3つの作業をおこなった。1.ソウル大学校附属図書館、国立中央図書館、国家記録院等において、近代~植民地期の朝鮮の港湾都市開発関係の史料を収集した。2.植民地期朝鮮における港湾都市開発の他事例を参照するために、植民地下において日本によって港湾都市開発がおこなわれた群山市を調査した。特に旧日本人街に残された近代建築等を訪問し、都市構造の形成過程について認識を深めた。また、群山近代歴史博物館を見学し、群山の都市形成について理解を深めた。3.ソウル大学校の近現代史研究者と交流を持ち、韓国における歴史研究の状況に対する理解を深めた。 また、史料の分析を進め、学会報告をおこなうとともに、研究成果を論文として公表する準備として次の3つを進めた。1.朝鮮東北部の日本による港湾都市開発を考察する前提作業として、日露戦争下の日本軍による同地方の占領政策を検討した。この内容はアジア民衆史研究会において「日露戦争と朝鮮の地方社会-日本軍による咸興占領以前の咸鏡道を中心に-」(2012年6月)と題して報告し、現在原稿化を進めている。2.港湾都市開発と大きく関係する臨海地域における日本軍の軍事基地の建設についての検討を進めた。この成果は、「日露戦争以降の朝鮮における軍事基地建設と地域社会-永興湾を事例に-」という論文としてまとめ、公表の準備を進めている。3.日露戦争~1920年代の清津地域の港湾開発問題についての検討を進め、論文としてまとめる準備をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
韓国での調査によって、史料の収集等が順調に進展し、研究を大いに発展させる基盤が整ったためである。また、学会報告を1回おこなえたこと、また論文として公表する原稿を2本準備したことは、当初の計画の通り進んでいると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は主として日露戦争期から1910年代までの港湾都市開発に関する検討を進めたので、平成25年度はこれらの作業で得られた成果を論文として公表する作業を進める。さらに、1920~40年代の港湾都市開発に関する分析を本格的に進め、学会報告や論文公表の準備をおこなう。 また、平成24年度は韓国での調査が中心となったので、平成25年度は国内各地に散在している史料を調査する。さらに、研究の進展に伴い新たに必要になった史料を収集するために、韓国調査も改めておこなう。
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Research Products
(5 results)