2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J04741
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
山崎 大輔 一橋大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | パネルデータ分析 / 単位根検定 / パラメータの安定性の検定 / 構造変化の検定 / 最適検定 |
Research Abstract |
1.(パネル単位根検定) パネル単位根検定では、「すべてのクロスセクションが単位根をもつ」という帰無仮説に対し、「あるクロスセクションは単位根をもたない」という対立仮説を想定するため、帰無仮説を棄却した際の解釈が難しくなる。そこで、Hansen(1995)やElliott and Jansson(2003)の先行研究を基にして、パネル単位根検定の欠点を補う検定方法を考案した。また、この検定を用いる際に必要となるcovariateの選び方についても考察を行った。さらに、シミュレーションを行い、有限標本の下での性質を調べた。また、マクロパネルデータを用いて実証分析を行い、プレビッシュ・シンガー仮説と購買力平価説の検証を行った。 2.(パラメータの安定性の検定) 通常のパネルデータ分析では、個別効果を除くパラメータは共通であると仮定されている。しかしながら、実際にはこの仮定が成り立たない場合が多く、このような場合には誤った統計的推測を行ってしまう可能性がある。従って、この仮定が正しいか否かの検定、すなわちパラメータの安定性の検定を行うことは重要である。 本研究では、Nyblom(1989),Elliott and Muller(2006)の先行研究を基にして、パネルデータモデルにおけるパラメータの安定性の検定を構築した。モデルは、パラメータがクロスセクション間で異なる場合と共通の場合の2通りを考え、最適性を考慮した上で、検出力が高い検定を考案した。検定統計量の臨界値は、数値積分を用いて計算した。また、シミュレーションを行い、有限標本の下での性質を調べた。シミュレーションの結果、本研究の検定は全体的に良好な性質をもつことが分かった。また、撹乱項に系列相関がある場合には、Kejriwal(2009)に基づいた方法で長期分散を推定すると、検定のパフォーマンスが良くなることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度には、前半にパネルデータモデルにおける単位根検定に関する研究、後半にパラメータの安定性の検定に関する研究を行い、これらの研究の成果を国内・国外での学会で発表し、論文執筆を行った。このように、平成24年度は1年間に2つの研究を行ったため、当初の予定以上に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、パネルデータモデルにおけるパラメータの安定性の検定において、撹乱項に系列相関がある時に、有限標本の下で検定のサイズが歪む場合や、検出力が単調にならない場合があるなど、検定のパフォーマンスが良くない場合があることが分かった。このため、今後は、検定の有限標本特性を改善することを考えている。特に、検定を構築する際に必要となる長期分散の推定方法の改善を行い、検定のパフォーマンスの向上を図る。 その後は、パネルデータモデルにおける、時系列・クロスセクション両方向のパラメータの安定性の検定を構築する。
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Research Products
(3 results)