2012 Fiscal Year Annual Research Report
巨大惑星形成期における周惑星ガス円盤と衛星系の現実的な形成シナリオの構築
Project/Area Number |
12J04770
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤井 悠里 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 周惑星円盤 / ガス惑星形成 / 磁気回転不安定性 |
Research Abstract |
巨大ガス惑星形成期に形成される周惑星円盤の形成と進化についての研究を行った。周惑星円盤は衛星形成の舞台であると考えられているため、その進化についての理解は衛星形成を理解する上でも非常に重要である。衛星形成は惑星形成のミニチュアと例えられることもあり、惑星形成のスケールダウンとして議論されることが多い。そして、原始惑星系円盤では磁気乱流が円盤進化において重要な役割を担うということが分かっているため、これまでは、周惑星円盤においても磁気乱流が主な乱流粘性の担い手であると暗黙に仮定されてきた。しかし、実際に本研究において周惑星円盤中ガスの電離度を計算し、磁気乱流の発展性を調べてみたところ、周惑星円盤では磁気乱流は重要ではないという示唆が得られた。 本研究では、詳細な数値計算によって求められた原始惑星系円盤からのガス流入フラックスと適当な値の粘性定数をもちいて円盤の面密度を決定し、その円盤内の電離度を計算することで、周惑星円盤内の磁気乱流状態を調べた。円盤内で磁気乱流が発展できる領域がある場合には、磁気乱流による粘性ストレスを計算することにより、正しい値の粘性定数を求めることができるので、それを用いて矛盾のない値が得られるまで面密度を計算し直すことにした。しかし、どのような粘性定数を選んでも磁気乱流が発展できる領域を見つけることが出来なかった。これはつまり、乱流粘性の起源として磁気乱流のみを仮定すると、定常な円盤面密度が得られないということである。もし、重力的に安定な円盤において磁気乱流以外の降着メカニズムがないとすると、周惑星円盤には重力的に不安定になるまでガスが降り積もるということになる。実際にそうなるかどうかを調べるためにも、他の降着メカニズムについて調べることが重要である。この内容については、現在論文を執筆中であり、近日中に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の計画通りに周惑星円盤の磁気流体力学的進化を調べ、面密度及び温度構造について検討した。 そして、磁気乱流が主な円盤ガス降着メカニズムではないということが示唆されたので、他の降着メカニズムについても検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
磁気乱流以外の可能な円盤ガス降着メカニズムについて調べ、周惑星円盤の進化について調べる。傾圧不安定性は重要でないことが分かったので、重力不安定性や固体天体による摂動などによるスパイラル密度波の影響について検討する。また、周惑星円盤の形成や進化に関する数値シミュレーション事行う予定である。
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Research Products
(8 results)