2013 Fiscal Year Annual Research Report
巨大惑星形成期における周惑星円盤ガス円盤と衛星系の現実定な形成シナリオの構築
Project/Area Number |
12J04770
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤井 悠里 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 周惑星円盤 / 衛星形成 / 磁気回転不安定性 / 重力不安定 |
Research Abstract |
衛星系の起源を明らかにするために、その形成の場である周惑星円盤の形成と進化について研究した。周惑星円盤はガス惑星の形成時にその周りに出現するガス円盤である。中心天体の周りに形成されるガス円盤という点において、ガス惑星+周惑星円盤の系は主星+原始惑星系円盤の系のスケールダウンであると考えられることが多い。しかし、化学反応はスケール出来ないので、周惑星円盤においても磁気乱流が有力な角運動量輸送メカニズムになり得るかどうかは、電離度を計算しなければ分からない。本研究では詳細な数値流体シミュレーション結果に基づいて周惑星円盤をモデル化し、その電離度を計算した。結果、周惑星円盤では磁気乱流の駆動に十分な電離度が得られないことが明らかになった。よって、他に有効な角運動量輸送メカニズムがない場合には周惑星円盤の寿命は従来考えられていたよりも長いと考えられる。本研究結果は、現在の標準シナリオとは異なる静かな円盤で長時間かけて衛星が形成されるというシナリオを示唆する。ここまでの結果は論文としてまとめ欧文論文雑誌に投稿し、出版が受理された。 より厳密に円盤進化を計算するために、円盤の流体力学シミュレーションコードであるAthenaコードに我々が開発した電離度計算コードを組み込んだ。我々の電離度計算コードは高速なので、流体計算の各時間ステップで化学反応を解くことが出来る。この計算は周惑星円盤にも原始惑星系円盤にも適用可能である。 有効な角運動量輸送メカニズムがない場合には周惑星円盤の質量は原始惑星系円盤からの流入に伴い増加し続けると考えられる。やがて円盤が重力的に不安定になると、スパイラル状の密度波によって角運動量輸送が輸送される。この時に重力エネルギーの一部が熱として散逸すると、熱電離によって磁気乱流が駆動可能なほど円盤が加熱されることが分かった。しかし、熱化のメカニズムについては詳しく調べる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究手法は当初の予定から変更になったが、周惑星円盤における磁気乱流以外の角運動量輸送メカニズムについて調べた。重力不安定に着目し、スパイラル密度波による角運動量輸送と重力エネルギーの熱への散逸をモデル化し、円盤ガスの降着率と温度を計算した。
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Strategy for Future Research Activity |
数値流体シミュレーションを行って、これまで取り組んで来たモデル化の検証を行う。また、周惑星円盤の面密度や温度構造を決めるために引き続き角運動量輸送メカニズムや加熱機構について調べる。
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Research Products
(11 results)