2012 Fiscal Year Annual Research Report
ストリゴラクトンシグナル伝達経路で働くD14タンパク質の組織間輸送
Project/Area Number |
12J04777
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
亀岡 啓 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ストリゴラクトン / D14 / 師管輸送 |
Research Abstract |
ストリゴラクトンは腋芽伸長を抑制する植物ホルモンとして働く。ストリゴラクトンのシグナル伝達機構は未解明であるが,DWARF14(D14)は受容体候補と考えられている。興味深いことに、D14タンパク質はイネ師管液中に検出された。D14が師管を輸送されている可能性が考えられるが、植物ホルモンの信号伝達に関わるタンパク質が細胞間を輸送される例は知られていない。そこで、D14タンパク質の師管輸送について解析を行った。 D14mRNAは維管束と腋芽の葉原基で発現がみられた。それに対して、D14プロモーターでD14:GFP融合タンパク質を発現させた系統では、維管束と葉原基だけでなく、mRNAの発現がみられない腋芽メリステムでもGFP蛍光が観察された。次に、D14:3xGFP融合タンパク質を同じくP14プロモーターで発現させる系統を作出した。D14:3xGFP融合タンパク質は分子量が大きく、細胞間を移行できない。この系統では腋芽メリステムにGFP蛍光がみられなかったことから、腋芽メリステムで観察されたD14:GFP融合タンパク質は、細胞間を移行してきたものであることが確認された。 これらの結果から、D14タンパク質は腋芽へ輸送されることが明らかとなった。 さらに、D14輸送が腋芽伸長抑制に必要か検証した。dl4変異体にPl4プロモーターでD14:GFP融合タンパク質を発現させると、腋芽伸長が抑制された。また、アクチンプロモーターを用いてD14:3xGFP融合タンパク質を個体全体で発現させると腋芽伸長が抑制されたことから、D14:3xGFP融合タンパク質も機能的であることがわかる。しかし、Pl4プロモーターでD14:3xGFP融合タンパク質を発現させても腋芽伸長が抑制されなかった。このことから、D14が腋芽に輸送されることが腋芽伸長抑制に必要であることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
解析に必要な形質転換植物の作成が予想以上に順調に進んだため、D14輸送による腋芽伸長制御の解析が計画以上に進展した。
|
Strategy for Future Research Activity |
D14輸送が師管を介して行われているか検証するために、抗体染色により師管内でのD14タンパク質の検出を試みる。また、シロイヌナズナを用いて接ぎ木実験を行う。さらに、環境によるD14発現制御と分枝の関連を解析する。
|
Research Products
(4 results)