2013 Fiscal Year Annual Research Report
近世日本の倫理思想からの〈作為〉観再考─労働・言語・芸術─
Project/Area Number |
12J04820
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
板東 洋介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員PD
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Keywords | 朱子学 / 東アジア思想 / 中江藤樹 / 山崎闇斎 / 国学 / 本居宣長 / 古事記伝 |
Research Abstract |
本年度の本研究の実績は、1、日本儒教についての研究論文を、中国学術誌に翻訳のうえ掲載したもの、及び2、日本近世の国学の思想内容について、日本国内で発表したものの二種に大きくわけられる。以下、それぞれについて概要を説明する。 まず1、中国誌に掲載された日本儒教の研究論文であるが、本年度、多くの日本儒教についての研究論文を中国にて発表することになったのは、昨年の本研究の中心課題であった日本儒教研究についての業績(『日本思想史学』44号掲載論文)が高く評価され、国際シンポジウムを通じて中・台・韓の儒教研究者にその内容が広く知られることになったことを発端とする。現在、そのシンポジウム上で報告者(板東)が発表した原稿を、他の発表者の報告ととともに中国国内の大手出版社より書籍として発刊する作業が進行中であり、それに先行して、そこに掲載される予定となっている報告者の原稿(「近世日本「敬」説的容受与展開―以近世前期的中江藤樹与山崎闇斎為中心」)が、『福州大学学報』に掲載された。さらに、中国の厦門大学を中心に東アジアの朱子学研究者が結集して発刊された『朱子学年鑑』の2011-12年度版に、日本朱子学の最新の研究動向を執筆することを依頼された。これはすでに当年鑑編集局に受理され、発刊された。また継続して2013年度の研究動向の概述も依頼され、こちらもすでに脱稿し、本年7月に出版される予定である。 次に2、国学についての研究論文であるが、まず2013年8月刊の『岩波講座日本の思想』第四巻にて、近世国学の最重要著作である本居宣長の『古事記伝』についての概説をおこなった。さらに、本年度後半より、欧米圏の日本神話研究者との学術交流がはじまったことから、英文にて近世国学の思想史的位置づけを論じた'Between hermits and patriots'を『倫理学紀要』に投稿し、査読の上掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した内容について、それぞれに学術的かつ広汎な影響力をもつ実績を出しているうえに、アジア圏・欧米圏双方の国外研究者との連携がすすみ、その多くの業績が国際的な形で発表されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度が本研究の最終年度となるが、本研究全体の総括となる著作の発刊を計画しており、すでに出版社との交渉段階に入っている。最終年度となる来年度は、この出版計画を推進してゆくことを主要な目標としつつ、これまでの研究で得られた知見を、単発論文のかたちで各学術誌に掲載することも行ってゆく予定である。
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Research Products
(4 results)