2013 Fiscal Year Annual Research Report
分子動力学シミュレーションを基にした反応経路探索と金属酵素化学への応用
Project/Area Number |
12J04986
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西本 佳央 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 密度汎関数強結合法 / フラグメント分子軌道法 / 計算化学 / 反応経路探索 / 分子動力学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、分子構造や電子状態に着目して遷移金属錯体を含む物質の性質や、金属酵素が関係する生化学反応機構を、量子化学・計算化学の理論を基にした手法を用いて解明することである。金属酵素は多くの生化学反応に関与しており、その反応機構を解明することは、その生物を理解するのにとても重要と考えられる。 金属酵素のような大きな系に関する量子化学計算は、その計算コストが問題になる。そこで、大規模な系に適用することができる計算手法を開発するというねらいを持って、理論面を構築してきた。フラグメント分子軌道法と、密度汎関数強結合法とを組み合わせることで、計算の精度を犠牲にせずに金属酵素などの大きな系にも適用できる手法の提案をした。フリーのGAMESSパッケージに密度汎関数強結合法を組み込むことにより、効率よくフラグメント分子軌道法を用いた計算ができるようになった。本研究で提案した手法は、従来から用いられてきたハートリー・フォック法や密度汎関数法と、フラグメント分子軌道法を組み合わせた場合に生じる誤差と同程度であることを確認することができた。18,432原子の水クラスターの計算によると、通常の計算手法よりも約9,000倍程度高速であることも分かった。 また、反応経路探索としては、ロジウム錯体やパラジウム錯体を用いた反応機構に関する研究を行った。この触媒反応は、活性化しづらいシアノ基を室温かつ温和な条件で反応を進行させることができることや、かさ高い芳香族化合物を効率よく反応させることができるということがわかっている。この触媒反応の理解は、新規触媒の設計や、類似した触媒反応のさらなる理解に重要であると考えている。これまでに反応経路をいくつか提案し、学会にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
密度汎関数強結合法とフラグメント分子軌道法とを組み合わせるプロダラムの大枠は完成した。計算速度の改善をすることもでき、ある程度の機能の充実もさせることができたため、こちらは計画以上に進展していると考えている。しかし、分子動力学シミュレーションを用いた検討については、やや遅れているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、これまでに組み上げたプログラムのさらなる機能の充実を考えている。また、本研究で提案する手法は、系によっては大きな誤差を与えることが分かった。原因はすでに判明しているので、こちらの解決をしたいとも考えている。反応経路探索についても、さらなる検討を重ねると同時に、共同研究を行っている実験の研究者と議論をして、新規触媒の設計に役立てていきたい。また、反応経路探索に用いるための分子動力学シミュレーションとの結びつきについても、考慮する。
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Research Products
(7 results)