2012 Fiscal Year Annual Research Report
対話型最適化による感性情報のメタモデルの抽出と応用
Project/Area Number |
12J05044
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
田中 美里 同志社大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 感性工学 / モデリング / 情報推薦 / 対話型最適化 / 生体情報計測 |
Research Abstract |
本研究では、数値化や記述が困難な人間の感性情報を、人間とコンピュータとの対話を通して明らかにし、意思決定やデザイン設計に応用することを研究目的とする。E-commerceなどに見られる従来の情報推薦はアクセス履歴などに基づくコンテンツ同士の関連度から呈示を行うものである。これに対し、本研究では個人ごとに、そして対象問題ごとに異なる感性モデルから共通するモデル、普遍的なコンセプトと言えるメタモデルを抽出し、応用した新しい推薦技術の確立を目指していることに意義が存在する.これらのモデル抽出を可能とする手法として、対話型遺伝的アルゴリズムに着目している。ユーザの評価と最適化計算を繰り返すことで、ユーザの感性モデルを特徴空間中の景観(ランドスケープ)の形状によって記述する。この対話型遺伝的アルゴリズムを用いた感性のメタモデルと抽出においては、以下の問題を解決していく必要がある。(1)複雑な感性モデルを正確に抽出する手法を開発する(2)ユーザの評価に存在する評価揺らぎについて検証する(3)感性モデルを解析し、モデル間で共通したあるいは相関のある特徴量をメタモデルの候補として抽出する(4)得られたメタモデルの候補を高品質な情報推薦へ応用する、という流れによって達成する。本年度は課題の(1)と(2)に取り組んだ。本年度の前半は前者の課題を検討するために、複数の対象問題を扱った被験者実験を行った。実験においては、多くの被験者において1つの問題においても、感性的な評価が極大となる領域が複数確認され、感性のばらつきが確認された。このような複雑なモデルに対応して開発した手法について被験者実験を行い、提案手法が従来手法よりも有意にモデルの複雑さを抽出できていることを確認した。年度の後半からは、ユーザの感性を抽出する際に必要となる被験者の対象問題への評価についての揺らぎについて検証し、この揺らぎを低減する手法としてMRI装置を用いた生体情報の取得と利用について数回の被験者実験を行っている。また、これらの研究の成果については適切な機会に研究発表を行い、外部に公開している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的である対話型最適化を用いた感性情報のメタモデルの抽出と応用に対し、本年度はメタモデルの抽出に必要となるユーザの精密な感性モデルの推定手法を開発し、ユーザ評価のゆらぎについて解決をはかった。これらの成果は適切な機会にその研究成果を学会などで発表しており、研究は実施計画通りに順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については、ユーザの評価の揺れに対応した手法の検討をさらに進める。生体信号情報によってユーザの評価を推定する手法について、実際に対象問題に対して発生した被験者の生体信号を取得するための被験者実験と、得られたデータの解析を繰り返し行っていく。また、正確な感性モデルの推定が可能となった後は、得られたモデルからメタモデル部分の抽出を行い、それらの研究結果をとりまとめて論文、研究発表などの形式で外部に公表していく。
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Research Products
(3 results)